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「蟇(ひきがえる)」は、初夏から夏にかけて夕暮れや夜の庭先、道端などに姿を現す大型のカエルを指す夏の季語です。別名として「蝦蟇(がま)」や単に「ひき」とも呼ばれます。春先の産卵期を終えた蟇は、夏になると活動的になり、夜露に濡れた地面をのっそりと這い出します。ずんぐりとした重量感のある体つきと、いぼに覆われた皮膚が特徴で、不気味さの中にもどこか悠然とした風格や愛嬌があり、古くから多くの俳人に愛されてきました。
蟇を詠む際の最大のポイントは、その「重々しさ」と「不動の存在感」を捉えることです。軽やかに跳ね回る雨蛙などとは対照的に、蟇はじっと蹲って物思いに耽っているかのように動かないことが多くあります。その動かない様子や、重い体を揺らして歩く様を描くことで、独特のユーモアや侘しさを表現できます。夕暮れの薄暗がり、濡れた庭石、古びた家の縁側など、湿り気や静けさのある場面と合わせると、蟇の持つ独特の哀愁や迫力がより引き立ちます。
・状態や動作(無季):動かず、のそりと、巨躯、居座る、瞬く、重き ・場所や情景(無季):庭石、敷石、濡れ縁、雨上がり、物陰 ・夏の情景(夏):夏の夜、短夜、梅雨、土砂降り、草茂る