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「糸瓜(へちま)」はウリ科の一年草で、晩夏から秋にかけて黄色い花を咲かせ、秋には円柱状の細長い実をぶらりと垂らします。原産地は熱帯アジアで、日本には江戸時代初期に伝わったとされています。「いとうり(糸瓜)」が転じて「とうり」となり、「と」は「いろは歌」で「へ」と「ち」の間にあることから「へちま」と呼ばれるようになったという洒落た言葉遊びが語源です。繊維をタワシにしたり、中秋の名月の頃に茎から採取する「へちま水」は咳止めや化粧水として庶民の生活に深く根づいてきました。
棚からゆらゆらと無心にぶら下がる独特のユーモラスな姿や、秋風に揺れる哀愁を捉えるのが基本です。生活感のある庭先や勝手口、縁側といった庶民的な風景と非常に相性が良い季語です。また、どこか間の抜けた滑稽味(おかしみ)を醸し出す一方で、正岡子規の絶筆三句にも詠まれたように、病床の影や命の儚さ、季節の移ろいによる寂寥感を際立たせる効果も持っています。
・形状・動作を表す言葉:ぶらり、垂る、揺るる、風過ぐる、棚 ・暮らしや生活の情景:縁側、土間、病床、日和、古机 ・情感・気配を表す言葉:秋風、夕暮、月影、静けさ、水