紫荊の実

紫荊の実

はなずおうのみ

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意味・由来

「紫荊(はなずおう)」は中国原産のマメ科の落葉低木です。春に葉が出るよりも早く、枝を覆い尽くすように鮮やかな紅紫色の花をびっしりと咲かせることで知られます。秋になるとその花の跡に、長さ5〜7センチほどの扁平な豆果(さや)が実り、枝からすずなりに垂れ下がります。この実を「紫荊の実」と呼び、秋の季語としています。春の華麗で艶やかな姿から一転して、茶褐色に乾いた実が風に揺れる姿は、季節の移ろいと命の成熟を静かに物語ります。

この季語で詠むコツ

春の満開の花を知る人にとって、秋の実はその落差や哀愁を感じさせる絶好の素材です。豆科特有の平たい莢(さや)が密集してぶら下がる独特の形状や、秋風に吹かれてカサカサと鳴る乾いた音、日差しに透ける枯淡な色合いなどを具体的に捉えると実感が深まります。「春の花の華やかさ」を直接言葉にしなくても、実の静けさや侘しさを強調することで、背後にある時間の流れを表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・形状や質感を描く言葉(垂る、さやさや、枯色、重たげ、莢) ・日常や身近な風景(日向、障子、板塀、小庭、秋日) ・情感を添える言葉(あはれ、静寂、風の音、日暮れ)

紫荊の実」の俳句例 (3件)

花蘇芳実を結びたるあはれさよ
高浜虚子【現代語訳】春にあれほど艶やかな花を咲かせた花蘇芳が、秋になって実を結んでいる姿には深いあわれや情趣が感じられることだ。 【鑑賞】春の咲き誇る花の記憶をふと呼び起こしながら、乾いた実をぶら下げる秋の姿に人生や自然の無常、そして成熟の美しさを見出した虚子の率直な名句です。
紫荊の実に日の当る障子かな
阿波野青畝【現代語訳】紫荊の実に秋のやわらかな陽が当たり、その影がすぐそばの障子に映っていることだ。 【鑑賞】庭先の紫荊の実と、家の中を隔てる障子に射す日差しを取り合わせた穏やかな情景です。実の形が影絵のように障子に映り、秋の日の静寂と長閑さを鮮やかに切り取っています。
紫荊の実のたゆたへる日向かな
富安風生【現代語訳】紫荊のたくさんの実が、穏やかな秋の日だまりの中でゆらゆらと揺れていることだ。 【鑑賞】「たゆたへる」という柔らかな表現により、秋の微風に揺れる実の重みと、日向のあたたかな光の調和が見事に捉えられています。もの寂しさの中にある平穏な安らぎを感じさせる一句です。

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