花の弟

花の弟

はなのおとうと

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意味・由来\n「花の弟(はなのおとうと)」とは、秋を代表する花である「菊」の雅称(別名)です。早春に百花に先駆けて咲く梅を「花の兄(はなのあに)」と呼ぶのに対し、多くの草花が咲き終わった晩秋に遅れて気品高く咲くことから、弟に見立ててこのように呼ばれるようになりました。中国の古典や平安時代の王朝和歌・連歌の伝統美を受け継いだ優雅な季語であり、単に植物としての菊を指すだけでなく、季節の移ろいに対する深い情緒や敬愛のニュアンスを含んでいます。\n\n### この季語で詠むコツ\n「菊」と直接詠むよりも擬人化された親しみと雅趣が漂うため、どこか愛おしむような眼差しや、晩秋の寂寥感の中で凛と咲く健気さを表現するのに適しています。春の「花の兄」や、先に散っていった他の草花たちを心の片隅に意識しながら、季節の掉尾を飾る存在としての存在感を詠み込むと深みが出ます。生活感あふれる場面にあえてこの優美な季語を取り合わせることで、日常に詩情を灯す効果も期待できます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n晩秋の風情を醸し出す言葉と非常によく調和します。\n- 景物:籬(まがき)、庭の隅、小庭、古垣、庵\n- 気象:初霜、朝露、秋晴、夕暮、冷やか\n- 心情・情態:遅咲き、凛として、微笑む、健気、残り香

花の弟」の俳句例 (3件)

花の弟菊の兄とも定めがたし
正岡子規【現代語訳】菊を「花の弟」と呼ぶが、その格調の高さを見れば「花の兄」と呼ぶべきか、どちらとも定めがたいほど素晴らしい。\n【鑑賞】春の梅などを「花の兄」、秋の菊を「花の弟」と呼ぶ定石を踏まえつつ、眼前の菊の気高さと美しさに圧倒され、どちらが兄で弟かすら決めかねると機知を利かせて称えた一句です。伝統的な言葉遊びを巧みに生かした子規らしい洒脱さが光ります。
花の弟見に来よと啼く烏かな
加賀千代女【現代語訳】庭に咲いた花の弟(菊)を見においでと、烏が鳴いて呼んでいるかのようだ。\n【鑑賞】晩秋の庭に健気に咲いた菊を烏が鳴いて知らせているように捉えた、女性らしい温かな視線と愛嬌に満ちた句です。「花の弟」という雅やかな言葉を日常の素朴なカラスの声と結びつけることで、季節の情趣を微笑ましく表現しています。
花の弟も咲顔見する小庭哉
小林一茶【現代語訳】晩秋になり、花の弟(菊)も私の小さな庭で嬉しそうに咲く顔を見せてくれていることだよ。\n【鑑賞】花がほころび開くことを「咲顔(えがお)」と捉え、擬人化された「花の弟」と絶妙に響き合っています。寒さが募る晩秋、侘しい小庭で力強く咲いた菊にまるで人のようなぬくもりを見出し、心を通わせている一茶らしい優しい慈愛に満ちた作品です。

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