颶風
autumn 天文

颶風

ぐふう

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意味・由来

「颶風(ぐふう)」とは、猛烈な勢いで吹き荒れる大暴風雨、すなわち台風や熱帯低気圧による烈風を指す秋の季語です。「颶」という漢字には「四方から吹き寄せる激しい風」という意味があり、古くから東シナ海周辺で発生する暴風を指す言葉として用いられてきました。和語の「野分(のわき)」が草木を吹き分ける風情や風の通り過ぎる情緒を帯びるのに対し、「颶風」は漢語ならではの硬質で圧倒的な自然の猛威、緊迫感、破壊的なスケール感を鮮烈に伝える表現です。

この季語で詠むコツ

「颶風」の持つ力強い響きを生かし、風そのものの凄まじさだけでなく、風に向き合う人間や自然の対比を描くのがコツです。風が迫り来る予兆や緊迫感(「颶風来る」)、あるいは嵐が過ぎ去った後の静寂や爪痕(「颶風過ぐ」「颶風去る」)といった時間の推移を捉えると、ドラマチックな句になります。漢語調の重厚感があるため、中八や説明過多を避け、研ぎ澄まされた簡潔な言葉で引き締めると効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・山河・自然物:青嶺、大樹、巨岩、海、水平線、林檎(動じない巨大なもの、または激しく揺さぶられ散るもの) ・動詞・状態:迫る、去る、揺る、薙ぐ、轟く、沈黙、無傷 ・人工物・生活:時刻表、窓硝子、鉄塔、避難、灯火

颶風」の俳句例 (3件)

颶風来る一樹を揺りて力あり
山口誓子【現代語訳】大暴風が近づいてきて、目の前の一本の木を激しく揺さぶり、凄まじい力を誇示している。 【鑑賞】これから本格的な暴風雨に見舞われようとする不穏な導入部を切り取った句です。「一樹を揺りて」という具体的な焦点化によって、目に見えない風の強大な質量とエネルギー(「力あり」)を視覚的に生々しく表現しています。
颶風過ぐ青き林檎の落果して
日野草城【現代語訳】猛烈な暴風が過ぎ去り、まだ青く未熟な林檎の実がたくさん地面に落ちている。 【鑑賞】激しい嵐の通過後、園地に散乱する青い林檎を見つめる痛ましい光景です。成熟を待たずに無残にも落とされてしまった青い実に、颶風の破壊力と無情さ、そして被災の静かな悲哀が凝縮されています。
颶風去つて青嶺はもとの位置にあり
西東三鬼【現代語訳】猛烈な颶風が吹き荒れて過ぎ去ったあと、青々とした山嶺は何事もなかったかのように元の位置にどっしりと佇んでいる。 【鑑賞】天地を揺るがすような大暴風雨が去った後の鮮明な静けさを描いた名句です。すべてを吹き飛ばすかのような嵐の激しさと、それにビクともせず元の場所に青くそびえる山の不動の姿との鮮烈な対比が、自然の雄大さと理を際立たせています。

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