銀杏
autumn 生活

銀杏

ぎんなん

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意味・由来

「銀杏(ぎんなん)」は、イチョウ科の落葉高木であるイチョウの種子(実)を指す仲秋から晩秋の季語です。なお、「公孫樹(いちょう)」そのものや「黄落(こうらく)」は樹木や葉の散る様子を表す季語ですが、「銀杏(ぎんなん)」と呼ぶときは主にその「実」を指します。黄金色に熟して木から落ちた実は独特の強い異臭を放ちますが、外皮を取り去って殻を割り、炒ったり茹でたりした実は、ほろ苦さと美しい翡翠色で秋の味覚として古くから親しまれています。

この季語で詠むコツ

銀杏は、視覚(黄金色、翡翠色)、嗅覚(落ちた実の特有の匂い、炒った香ばしさ)、触覚(殻の硬さ、拾う指先の感触)、味覚(ほろ苦さ)など、五感を刺激する要素が非常に豊富な季語です。 寺社の境内や街路樹の下で「銀杏拾い」をする秋の日常の一コマを描くか、あるいは酒の肴や茶碗蒸しなど「食」の場面として描くかで表情が大きく変わります。実の小ささや、殻を割る微かな音(パチンという音)に着目すると、秋の静けさや夜の深まりを巧みに表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 動作・五感: 拾う、踏む、割る、炒る、匂う、弾ける、翡翠(ひすい)
  • 道具・場所: 箒(ほうき)、俎板(まないた)、小鍋、七輪、境内、石畳、街路樹
  • 時間・情景: 夜長、夕餉、灯影、雨上り、静けさ

銀杏」の俳句例 (3件)

銀杏を拾ひて指の匂ひけり
高野素十【現代語訳】銀杏の実を拾い集めたところ、その強い独特の匂いが自分の指先に残って匂っていることだ。【鑑賞】落ちている銀杏を拾ったときの、誰もが共感できる身近な感覚を素直に写生した一句です。拾い上げた手の感触や指についた特有の匂いがリアルに伝わり、秋が深まる季節の生活実感が鮮やかに立ち現れます。
銀杏踏んで街の匂のなかりけり
日野草城【現代語訳】路上に落ちていた銀杏を踏んでしまい、その強烈な匂いに包まれて、都会の雑多な匂いなど消え去ってしまったようだ。【鑑賞】街路樹の銀杏を踏んでしまったときの都会の一瞬を切り取ったモダンな句です。人工的な街の空気の中に突如として現れる強烈な自然の匂いが、かえって秋の訪れを強く意識させます。
銀杏を拾ふて遊ぶ小児かな
正岡子規【現代語訳】木の下に落ちた銀杏の実を拾い集めながら、無心に遊んでいる幼い子どもたちであるよ。【鑑賞】境内のイチョウの木の下などで、特有の匂いも気にせず実を拾い集めて遊ぶ子どもたちの無邪気な姿を描いています。秋晴れの穏やかな光と子どもたちの賑やかな声が目に浮かぶ、素朴で温かみのある写生句です。

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