蛇笏忌

蛇笏忌

だこつき

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意味・由来

「蛇笏忌(だこつき)」は、俳誌『雲母』を主宰し、近代俳句の巨星として知られる飯田蛇笏(いいだだこつ)の命日である10月3日を指す秋の季語(仲秋・晩秋)です。蛇笏は山梨県境川村(現・笛吹市)の自然豊かな山懐に生涯留まり、雄大で格調高く、峻厳な自然と風土に根ざした独自の俳句世界を確立しました。この日は、蛇笏の堂々たる詩魂と遺徳を偲ぶ日として多くの俳人に詠まれています。

この季語で詠むコツ

蛇笏の句風である「重厚さ」「剛直さ」「山岳の気高さ」を意識すると、季語の持つ重量感がより引き立ちます。単に故人を追悼するだけでなく、甲斐の山々、澄み渡る秋空、冷ややかに立ち込める霧や雲など、蛇笏が愛した風土の厳しさや美しさを句の背景に配するのがポイントです。また、静寂や孤独感、墨絵のような陰影を帯びた描写を取り入れることで、蛇笏調の風格を醸し出すことができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・山や風土に関する言葉(甲斐、山気、杉木立、嶺、谷、青嶺、八ヶ岳) ・静けさや厳しさを表す言葉(しじま、澄む、冷やか、暮色、雲、巌) ・日々の暮らしや風物(柿、庵、古書、筆、墨)

蛇笏忌」の俳句例 (3件)

蛇笏忌の山気たちこめゐたりけり
飯田龍太【現代語訳】父・蛇笏の忌日である今日、山特有の冷涼で厳かな気が立ち込めていることだ。 【鑑賞】実子であり後継者でもある飯田龍太の句。父が終生愛した甲斐の山の霊気や肌寒さを実感しつつ、父の遺した偉大な気魄が今も山野に満ち満ちているかのような追慕の情が素直に詠み上げられています。
蛇笏忌や山濃くありて人住めり
能村登四郎【現代語訳】蛇笏忌を迎えた今、山々の陰影は深く濃く重なり、その懐にしっかりと人々が暮らしている。 【鑑賞】蛇笏が詠み続けた山岳と農村の生活感に焦点を当てた名句です。「山濃くありて」という表現が、蛇笏俳句の骨太で重厚な世界観と見事に響き合っています。
蛇笏忌やひびきあひたる甲斐の山
清崎敏郎【現代語訳】蛇笏忌の今日、甲斐の山々は互いに呼び交わし響き合っているかのようだ。 【鑑賞】蛇笏の精神が宿る甲斐連峰の雄大な連なりを描いた句。秋の澄んだ大気の中で山々が凛として聳え立つ景が、蛇笏の毅然たる生涯を象徴しているかのように迫ってきます。

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