千代見草

千代見草

ちよみぐさ

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意味・由来

「千代見草(ちよみぐさ)」は、秋を代表する花である「菊」の雅称(別名)です。古来、中国では菊には邪気を払い、延命長寿をもたらす霊草としての神秘的な力があると信じられていました。日本にも平安時代にこの信仰が伝わり、重陽の節句(旧暦九月九日)に菊酒を飲んで長寿を祈る宴や、菊の花に綿を被せて朝露を含ませ、その露で肌をぬぐって老いを防ぐ「菊の被綿(きせわた)」の風習が広まりました。「千代(永遠・千年)」もの長い年月を生きる、あるいは幾世代にもわたる繁栄を見守る草という意味から、めでたい祝意を込めて「千代見草」と呼ばれるようになりました。菊の気品と長寿への祈りが込められた、格調高い秋の季語です。

この季語で詠むコツ

単に「菊」と詠むよりも、悠久の時間の流れや寿ぎの感情、雅やかな情緒を強く帯びているのが大きな特徴です。そのため、庭先の菊の単純な写生にとどまらず、老境の静かな喜び、先祖代々受け継がれてきた家や庭、変わらぬ秋の陽光といった「時間」を意識して詠むと季語の魅力がぐっと引き立ちます。また、長寿の祝いだけでなく、静かに年を重ねることへの肯定的な眼差しや、落ち着いた暮らしの風情を描くのにも最適です。「千代」という大きな時間を背景に据えながら、目の前の具体的な情景を取り合わせることで、句に深い奥行きが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 時間・老いを表す言葉(「白髪」「齢(よわい)」「老い」「幾日」「日和」など)
  • 伝統的な住まい・空間(「古庭」「籬(まがき)」「庵」「縁側」「苔」など)
  • 秋の光や澄んだ気配(「秋麗」「秋澄む」「朝露」「日ざし」など)

千代見草」の俳句例 (3件)

雨晴て幾日になりぬ千代見草
与謝蕪村【現代語訳】雨が晴れ上がってから、もう何日経ったのだろうか。庭には千代見草(菊)が美しく咲き続けていることよ。 【鑑賞】長く続いた秋雨が上がり、穏やかな天気が続く中で咲く菊の花を見つめた一句です。「千代見草」という長寿を願う名を持つ花と、雨上がりの日数の重なりを捉えることで、ゆったりと流れる秋の時間と自然の健やかな美しさを表現しています。
千代見草咲くや我名のしるしとて
加賀千代女【現代語訳】千代見草が庭に咲いた。まるで私自身の「千代」という名前の証拠であるかのように。 【鑑賞】作者自身の名前「千代」と、菊の別名である「千代見草」を重ね合わせた機知に富んだ一句です。花の名前に親しみを込めつつ、自らの存在を肯定するように咲く秋の菊の姿を爽やかに寿いでいます。千代女らしい優しさと知性が光ります。
千代見草咲て幾日や九日過
高井几董【現代語訳】千代見草が咲き始めてから何日経ったのだろうか。重陽の節句である九月九日もとうに過ぎてしまった。 【鑑賞】菊の節句である旧暦九月九日を過ぎてもなお咲き続ける菊を詠んだ句です。「幾日」「九日」と言葉のリズムを整えながら、節句の華やぎが過ぎ去ったあとの静かな晩秋の風情と、変わらず咲き誇る千代見草の凛とした佇まいを淡々と描き出しています。

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