紅茸

紅茸

べにたけ

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意味・由来

紅茸(べにたけ)は、秋の山林や雑木林の地上に生えるベニタケ科のキノコの総称です。その名の通り、傘が鮮やかな紅色や朱色、赤紫色をしているのが特徴です。薄暗い林床や朽ち葉が重なる地面に、ぽっと火が灯ったかのように鮮紅色が浮き立つ姿は非常に印象的で、秋の深まりを感じさせます。中には食用になるものもありますが、ドクベニタケなど辛味や毒性を持つ種も多く、その美しさゆえの危うさや妖しい風情もこの季語の持つ大きな魅力となっています。

この季語で詠むコツ

最大のポイントは「色彩の対比」です。秋の山や森は、朽ちた落ち葉や湿った土、苔の深い緑など、全体的に落ち着いた沈んだ色調になりがちです。そこに鮮烈な「赤」をどう際立たせるかが詠みどころになります。また、群生する姿だけでなく、薄暗がりの中に「たったひとつ」だけ凛と立つ孤独な佇まいに着目するのも効果的です。キノコ狩りの喜びだけでなく、晩秋の静けさや深山の気配、毒茸としての妖艶さなど、多角的な切り口を試してみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・明暗を表す言葉:木洩れ日、薄日、日炭、朽葉色、苔の緑、薄暗がり ・場所・環境を表す言葉:雑木林、深山、杉木立、腐葉土、山路、巌(いわお) ・状態・質感を表す言葉:露けし、湿り、傘、ひそやか、ぽつりと

紅茸」の俳句例 (3件)

紅茸の朱極まりて腐ちにつく
相生垣瓜人【現代語訳】紅茸のあざやかな朱色がこれ以上ないほど極まり、やがてそのまま崩れるように腐乱していく。 【鑑賞】紅茸の命のピークとその崩壊の瞬間を鋭利に切り取った句です。最も美しく鮮烈な朱色を放った直後に、湿った大地へ朽ちていく儚さと自然の摂理が、凝縮された言葉で生々しく描き出されています。
紅茸のただ一トもとのあかるさに
水原秋桜子【現代語訳】鬱蒼とした薄暗い林の中に、たった一本生えている紅茸の鮮やかな赤さによって、その周囲までもがぱっと明るく照らされているようだ。 【鑑賞】薄暗い森の底に生え出た紅茸の鮮烈な色彩を捉えた名句です。紅茸そのものが発光しているかのような把握が美しく、秋の深山の静寂と光の陰影が鮮やかに浮かび上がります。
紅茸を折りては捨てつ山くだる
石田波郷【現代語訳】鮮やかな紅茸を見つけては手折り、毒茸と知ってまた捨てながら、秋の山道を下っていく。 【鑑賞】林道で見かけた紅茸の美しさに惹かれて思わず手折るものの、食用にはならないと分かって投げ捨てるという、山歩きの無心な動作が描かれています。下山する寂寥感と、手折っては捨てる行為の乾いた哀愁が胸に残る作品です。

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