麻の実

麻の実

あさのみ

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意味・由来\n「麻の実(あさのみ)」は、繊維をとるために栽培されるアサ(大麻草)が秋に結ぶ種子のことです。熟すと灰褐色から黒褐色の硬い小粒となり、油分を豊富に含んでいます。古くから油を搾ったり食用にされたりしたほか、七味唐辛子の調合材(おのみ)や、飼い鳥(小鳥)の大好物の餌として広く親しまれてきました。秋の深まりとともに実り、日々の暮らしや小鳥の生態と結びついた親しみ深い植物季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n麻の実は非常に小さく素朴な存在です。そのため、麻の実そのものの形状や硬さ、手触り、匂いに着目するだけでなく、「小鳥が啄む(ついばむ)姿」「掌(てのひら)からこぼれる様子」「乾いた秋の日差し」など、身近な日常風景や聴覚・触覚を組み合わせると生き生きとした情景が立ち上がります。生活感や静かな秋の風情を醸し出すのに最適な季語です。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・鳥に関する語(雀、文鳥、小鳥、啄む、籠など)\n・触覚・動作の語(こぼる、掌、噛む、弾く、蒔くなど)\n・秋の暮らしや情景(日和、庭先、縁側、小春、旅籠など)

麻の実」の俳句例 (3件)

麻の実を拾ひあつめてすゞめかな
正岡子規【現代語訳】こぼれ落ちた麻の実を一心に拾い集めて食べている雀の姿であることよ。【鑑賞】地面に散らばった小さな麻の実を、ちょこちょこと忙しそうについばむ雀の愛らしい生態を写生した句です。身近な自然の営みに対する子規の温かな観察眼と、長閑な秋の庭の空気感が素直に表現されています。
麻の実をこぼして鳥を馴らしけり
高浜虚子【現代語訳】麻の実を少しずつ手元にこぼして与えながら、飼い鳥をだんだんと人に懐かせていったことだ。【鑑賞】小鳥の大好物である麻の実を使い、少しずつ警戒心を解いていく人と鳥の距離感を描いています。「こぼして」という動作に、静かに待つゆったりとした秋の時間の流れと心の通い合いが感じられます。
麻の実や小鳥飼ひ住む小山伏
与謝蕪村【現代語訳】麻の実が実る頃、小鳥を飼いながら質素に暮らしている若い山伏の姿がある。【鑑賞】厳しい修行を行うはずの山伏が、小さな庵で小鳥を愛育しているという意外性や風流な生活を描いた絵画的な句です。麻の実という小粒な季語が、山伏の素朴で愛嬌のある日常を際立たせています。

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