雨冷

雨冷

あまびえ

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意味・由来\n「雨冷(あまびえ)」とは、秋に降る雨によって急激に気温が下がり、肌寒さを感じることを表す仲秋から晩秋の季語です。「雨冷え」とも表記されます。秋はひと雨降るごとに気温が一段と低くなり、季節が進んでいく特徴があります。そのしとしとと降り続く冷たい雨と、身体に染み入るようなひんやりとした空気感を的確に捉えた、情緒豊かな言葉です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「雨の視覚的な情景」だけでなく、「触覚(肌寒さ・冷たさ)」や「聴覚(雨音)」、「嗅覚(濡れた土や草木の匂い)」など五感を活かして詠むのがポイントです。外の冷たい雨と、室内のぬくもりや灯りとの対比を意識すると、秋の深まりや人恋しさがより際立ちます。また、雨そのものを直接描くよりも、雨冷によって変化する人の身のこなしや室内の様子に焦点を当てると深みが出ます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・生活や室内の言葉(湯気、羽織、窓硝子、畳、灯火、古書)\n・身体感覚を表す言葉(指先、素足、衿、吐息)\n・静寂や陰影を想起させる言葉(薄暮、夕餉、雨音、濡れ縁)

雨冷」の俳句例 (3件)

雨冷の石を洗ひて水去らず
山口青邨【現代語訳】秋の冷たい雨が庭石を洗い流しているが、雨水は石の上に留まったまま去ろうとしない。\n【鑑賞】冷え冷えとした秋雨に濡れる庭石の質感を見事に捉えた一句です。雨水が石を濡らし、冷たさを帯びてなお表面に留まる様子から、晩秋のしっとりとした寒さと静けさが視覚的かつ触覚的に伝わってきます。
雨冷や厨の火種いま起す
中村汀女【現代語訳】秋の雨が降って肌寒くなってきたので、台所の火種を今ちょうど熾(おこ)したところだ。\n【鑑賞】外の冷え込みに対して、台所で火を熾すという日常の営みを描いています。火の温かさと明るさが、雨冷の肌寒さを際立たせるとともに、生活の温もりと家族を思いやる気配が優しく満ちています。
雨冷や畳を踏みて琴の音へ
久保田万太郎【現代語訳】秋雨の冷え込みのなか、ひんやりとした畳を踏みしめて、琴の音が響く部屋へと向かう。\n【鑑賞】足裏から伝わる畳の冷たさと、奥から聴こえてくる琴の清らかな音色が調和した風情ある句です。下町の情緒と侘びしさを愛した万太郎らしく、研ぎ澄まされた秋の静けさが漂っています。

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