秋尽く

秋尽く

あきつく

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意味・由来

「秋尽く(あきつく)」とは、文字通り美しく豊かだった秋が終わりを告げることを意味する晩秋の季語です。陰暦九月の末日(晩秋の最後の日)を指すとともに、深まりゆく秋が名残惜しくも去っていく全体の情趣を表します。実りの季節や華やかな紅葉の時期が過ぎ、冬の寒さや静寂へと移り変わる境目の寂寥感や、時の流れの無常さが込められた言葉です。

この季語で詠むコツ

「秋尽く」を詠む際は、単に「秋が終わった」と事実を述べるだけでなく、自然や身の回りのささやかな変化を通じて「名残惜しさ」や「冬を迎える覚悟」を滲ませるのがポイントです。澄み切った空、散り尽くした木々、冷え込む夕暮れ、静まり返った水面など、静けさや冷気を感じさせる具体的な景を取り合わせると、季語の持つ哀愁と美しさが際立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 空・気象:夕暮、残照、風の音、暮色、水澄む
  • 植物・自然景:裸木、落葉、枯野、山並み、水底
  • 心理・生活動作:灯火(ともしび)、茶をすする、旅心、惜しむ、静けさ

秋尽く」の俳句例 (3件)

秋尽きぬ何に命をつなぐべき
与謝蕪村【現代語訳】秋がとうとう終わってしまった。これから訪れる厳しい冬の間、自分は何を心の支え・糧にして生きていけばよいのだろうか。 【鑑賞】豊かな実りと美しい風情に満ちた秋が去り、荒涼とした冬を迎えることへの深い不安と哀惜の念が率直に吐露された一句です。蕪村の繊細な抒情と劇的な心情表現が光ります。
秋尽きて水澄むことの極りぬ
高浜虚子【現代語訳】秋が尽きて、水の透明さはこれ以上ないというほどの極みに達した。 【鑑賞】秋から冬への移り変わりの中で、研ぎ澄まされていく水の清澄さに焦点を当てた写生句です。秋の終わりがもたらす冷徹なまでの静けさと、張り詰めた冬の気配の到来を鮮明に描き出しています。
秋尽きぬ日ぐれし空の鳥のこゑ
飯田蛇笏【現代語訳】秋が終わりを告げた。とっぷりと暮れた寒々しい空に、ただ一筋、鳥の声が響いている。 【鑑賞】晩秋の暮れゆく空に響く鳥の声を通じて、秋が去る寂寞とした情景と冬の冷気の広がりを捉えています。蛇笏らしい格調の高さと、自然の広大さと孤独感が調和した名句です。

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