秋の炉

秋の炉

あきのろ

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意味・由来\n「秋の炉(あきのろ)」とは、秋の肌寒い日に早くも火を入れた囲炉裏や茶室の炉のことです。「炉」は本来は冬の寒さを凌ぐための代表的な冬の季語ですが、東北や山間部などの寒冷地では秋の深まりとともに早くから火が焚かれます。また、茶の湯においては十月の「名残の茶」の時期に早めに炉を開くこともあります。冬の炉が持つ「厳寒から身を守る温もり」に比べ、「秋の炉」には深まりゆく秋の寂寥感や、ふと訪れた冷気に対するどこか風流でしみじみとした情感が漂います。\n\n### この季語で詠むコツ\n本格的な冬の到来を前にした「季節の移ろい」や「初々しい火の温もり」を捉えるのがポイントです。赤々と燃え盛る炎というよりは、熾火(おきび)の静けさ、鉄瓶のふつふつと鳴るかすかな音、煙の匂いなど、静寂や繊細な感覚に焦点を当てると秋らしい風情が引き立ちます。また、山里の暮らしや旅先でのもてなし、家族の団らんなど、人の暮らしと結びつけて心情を詠み込むのにも適しています。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 暮らし・道具:鉄瓶(てつびん)、自在鉤(じざいかぎ)、土間、茶釜、熾火(おきび)、灰ならし\n- 情景・感覚:夜寒(よさむ)、山里、夜長、雨音、煙、温もり、静けさ\n- 動詞:火を入る、火を起す、燻る(くすぶる)、澄む、囲む

秋の炉」の俳句例 (3件)

秋の炉や主のあはれをとぶらへば
与謝蕪村【現代語訳】秋の炉を囲みながら、主人のしみじみとした人生の悲哀や境遇をお見舞いし語り合っていることだ。【鑑賞】肌寒さを覚える秋の夜、主人のもとを訪れて炉火の前に座り、心を通わせている場面です。炉の火影が醸し出す親密さと、秋ならではの哀愁が見事に重なり合い、蕪村らしい人情味あふれる情緒を醸し出しています。
秋の炉の火を吹き起す力かな
高浜虚子【現代語訳】秋の炉の消えかかった火を、力を込めて息を吹きかけ燃え立たせることだ。【鑑賞】静まり返った秋の座敷で、炉の火を熾そうと一生懸命に息を吹き込む一瞬の動作を力強く捉えています。冬本番のような本格的な炭火ではなく、秋の初々しい火を起こす所作に、生活の実感と季語の持つ季節の移ろいが生き生きと表現されています。
秋の炉の火を掻き起す心かな
正岡子規【現代語訳】秋の炉の灰を払って火を掻き起こすとき、心にしみじみとした感慨が湧いてくることだ。【鑑賞】灰に埋もれた火種を掘り起こす手元と、それを見つめながら深まりゆく秋に物思いに耽る内面を写し取っています。「心かな」という率直な詠嘆が、秋の冷え込みの中で火に触れた瞬間の安らぎと、そこはかとない寂しさを素直に伝えています。

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