秋の音

秋の音

あきのおと

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意味・由来

「秋の音(あきのおと)」とは、秋の気配や情趣を感じさせるあらゆる音を指す季語です。草むらから響く虫の音、乾いた風が吹き抜ける音、カサリと落ちる枯葉の音、澄み渡る夜に響く衣を打つ砧(きぬた)の音など、秋ならではの澄んだ空気の中で際立つ音全般を含みます。古くから詩歌において、秋は「耳で感じる季節」とされ、夏の喧騒が去ったあとの静寂の中に響く繊細な音の数々が、人々の心に哀愁や季節の移ろいを伝えてきました。

この季語で詠むコツ

「秋の音」自体が抽象的な言葉であるため、具体的にどのような音が聞こえているのか、あるいは音が響く背景(場所や時間帯)を丁寧に描写することがポイントです。音そのものを直接書くのではなく、障子の揺らぎや木々の葉の擦れ合い、水面の動きなどを通して「秋の音」の存在を浮かび上がらせると、読者の聴覚と想像力を強く刺激する奥行きのある一句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 静けさを表す言葉:夜気、障子、庵、書斎、無言、ひとり
  • 自然・植物の言葉:枯葉、松風、夜雨、月影、すすき
  • 動作・感覚を表す言葉:澄む、ひびく、かすか、拾ふ、聴く

秋の音」の俳句例 (3件)

秋の音のまづ立ちそめし障子かな
松瀬青々【現代語訳】秋の気配を告げる音が、まず初めにこの障子のあたりから聞こえ始めたことだよ。 【鑑賞】風が障子をかすかに鳴らす音によって、季節が秋へと移り変わったことを鋭敏に捉えた句です。視覚ではなく、紙一枚を隔てた微細な音の変化に耳を澄ませることで、暮らしの中に忍び寄る秋の訪れを見事に表現しています。
秋の音や木蓮の葉の散りそめて
高浜虚子【現代語訳】これが秋の音なのだろうか、木蓮の大きな葉がぱらぱらと散り始めて聞こえてくる。 【鑑賞】木蓮の葉は厚みがあり、落ちる際にも乾いた特徴的な音を立てます。葉が散る様子と乾いた落葉の音を結びつけることで、視覚と聴覚の双方向から深まりゆく秋の実感を詠み出しています。
秋の音のひびくばかりや夜の雨
加舎白雄【現代語訳】秋ならではの寂しい音としてただ響き渡っていることよ、この夜の雨の音は。 【鑑賞】夜の静寂の中でしとしとと降り続く雨の音に焦点を当てています。雨音そのものを「秋の音」と捉えることで、夜の冷気や一人静かに過ごす空間の孤独感・情趣が一層際立っています。

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