秋の駒牽

秋の駒牽

あきのこまびき

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意味・由来

秋の駒牽(あきのこまびき)」とは、平安時代に宮中で行われていた年中行事の一つです。旧暦八月中旬、信濃国や甲斐国、上野国などの東国にある勅旨牧(天皇の牧場)から献上された良馬を紫宸殿などの南庭に引き入れ、天皇がその優劣を検分・天覧されました。単に「駒牽」とも呼ばれ、秋の澄んだ空気の中で駿馬たちが蹄を鳴らし、堂々と引き立てられる様子は、雅やかでありながらどこか雄々しい風情を漂わせます。古の王朝文化と東国の武威を感じさせる、歴史と格調のある季語です。

この季語で詠むコツ

現代では実際の宮中儀式を見ることはできませんが、歴史的な情景への憧憬や、秋の爽やかな景色の中で力強く駆ける馬の姿に重ねて詠むのが王道です。馬の力強い息づかい、いななき、蹄の音といった「聴覚的な響き」や、引き締まった馬体、手綱などの「躍動感」を、秋の澄んだ空や涼気と対比させると効果的です。古風な雅味を持たせつつ、生き生きとした生命感を吹き込みましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 歴史・王朝を想起させる言葉:紫宸殿、手綱、東人(あずまびと)、衛士、南殿
  • 馬の動作・聴覚語:いななき、蹄の音、嘶く(いななく)、駆ける、息白し
  • 秋の景物・情景:秋晴、秋風、名月、浅間山、野路、白露

秋の駒牽」の俳句例 (3件)

駒牽や草履もわらは東人
松尾芭蕉【現代語訳】秋の駒牽の儀式に馬を引いてきた東国の男たちは、草履までもが素朴な藁で作られたものを履いていて、いかにも素朴で逞しい東国武者らしいことだ。【鑑賞】『野ざらし紀行』の時期の作。宮中の雅な行事「駒牽」を背景にしつつ、都の貴族とは対照的な東国人の素朴でたくましい風俗・装束に焦点を当て、情景を鮮やかに切り取っています。
駒牽や夜寒をのぼる浅間山
与謝蕪村【現代語訳】都へ馬を献上する駒牽の行列が、夜の寒さが身にしみる浅間山の麓を登っていくことよ。【鑑賞】都での華やかな儀式そのものではなく、信濃の浅間山を越えて都へと馬を運んでいく道中の厳しさと旅情を描いた句です。秋の夜の冷気と、険しい山道を歩む馬と人々のシルエットが絵画のように浮かび上がります。
駒引のいななき出づる野路の月
加舎白雄【現代語訳】都へと引かれていく馬が澄んだ秋の夜空にいななき声を響かせている、月明かりの照らす野の道よ。【鑑賞】月光に照らされた夜の野道を進む駒牽の情景です。静まり返った秋夜の空気の中に突如響き渡る馬のいななきが、月の明るさと静けさをより一層引き立てており、旅情と緊迫感が美しく調和しています。

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