秋の庵

秋の庵

あきのいおり

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意味・由来

「秋の庵(あきのいおり)」とは、秋の季節を迎えた草庵(そうあん)や質素なわび住まいを指す季語です。庵とは、世俗の喧騒を離れて建てられた簡素な小屋や隠棲の住処のこと。澄み切った秋の空気や深まりゆく秋の気配のなかで、静寂や孤独、わび・さびの情趣を色濃く感じさせる風情があります。草木が色づき、虫の声や風の音が身に染みる秋ならではの暮らしぶりや、静かに自己と向き合う心情が込められます。

この季語で詠むコツ

「秋の庵」を使う際は、単に住まいの様子を説明するのではなく、秋特有の自然現象や日常の小さな動作と響き合わせることがポイントです。例えば、秋風の音、夜の月明かり、訪ねてくる友の足音、あるいは囲炉裏や机の上の佇まいなどを描くことで、庵の静けさや風雅な暮らしの陰影が際立ちます。寂しさを単なる孤独としてではなく、心静かで豊かな時間として捉えて表現してみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚:月影、障子、落葉、灯火(ともしび)、柿、一輪挿し ・聴覚:虫の声、松風、夜雨、衣きぬたの音、柴の戸の軋み ・心情・動作:独り居、茶を点てる、読書、客を迎える、物思う

秋の庵」の俳句例 (3件)

松杉をほめてやがてや秋の庵
松尾芭蕉【現代語訳】まわりの松や杉の木立の風情を褒めて、そのままこの秋の草庵に落ち着いて過ごそうか。 【鑑賞】自然豊かな環境に佇む草庵を訪れ、周囲の立派な松や杉を愛でながら、隠棲の心境に浸っている句です。芭蕉の風雅を愛する旅情と、秋の庵の静けさが味わい深く表現されています。
秋の庵夜な夜な月が廻りけり
小林一茶【現代語訳】質素な秋の庵の周りを、夜毎に月が巡るように照らし渡っていくことだなあ。 【鑑賞】何もない慎ましやかな庵に、毎夜美しい月が静かに巡って光を投げかけてくれる様子を詠んでいます。孤独な暮らしのなかに訪れる自然の温かな恵みと、一茶らしい素朴な親しみが感じられます。
秋の庵机の上に柿二つ
正岡子規【現代語訳】秋の気配深まる草庵の机の上に、美味しそうな柿の実が二つ置かれている。 【鑑賞】子規らしい写実的で明快な一句です。「柿二つ」という具象物が、秋の庵の静寂と生活感を鮮やかに浮かび上がらせ、秋の豊かな彩りと静けさを同時に演出しています。

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