秋の彼岸会

秋の彼岸会

あきのひがんえ

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意味・由来

「秋の彼岸会(あきのひがんえ)」とは、秋分の日を中日(ちゅうにち)とする前後7日間の法会のことです。仏教では、煩悩を脱した悟りの世界である「彼岸(極楽浄土)」に対し、私たちが生きる迷いの世界を「此岸(しがん)」と呼びます。太陽が真東から昇り真西に沈むこの時期は、西方の極楽浄土へ思いを馳せやすく、先祖供養や読経を行う習わしが定着しました。単に「彼岸会」といえば本来は春と秋の両方を指しますが、秋の彼岸会は、澄んだ秋空や野に咲く曼珠沙華(彼岸花)、色づき始める木の実など、秋の訪れと深まりを感じさせるしっとりとした情緒を伴います。

この季語で詠むコツ

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、秋の彼岸会は季節の移ろい(涼しさ、澄んだ空気感)を強く実感する時期です。お墓参りやお寺での読経、線香の煙といった仏事の厳かな光景を描くだけでなく、人々の祈りや先祖への追慕、家族の温もり、そして秋の澄んだ光や風の気配を対比させると、詩情豊かな句になります。仏事の重々しさに偏りすぎず、日常のささやかな変化や自然の移ろいを取り入れるのがポイントです。

相性のいい言葉・取り合わせ

・寺社・仏具関係:線香、読経、鐘の音、卒塔婆、白露 ・自然・植物:曼珠沙華(彼岸花)、秋風、夕日、木の実、薄(すすき) ・生活・情景:墓参り、おはぎ、小路、野道、数珠

秋の彼岸会」の俳句例 (3件)

寺町へ出づる小路や彼岸会
与謝蕪村【現代語訳】細い小路を抜けて寺町へ出ると、彼岸会の法会に参詣する人々や賑わいが感じられることだ。 【鑑賞】静かな路地から一歩踏み出し、寺院が立ち並ぶ通りに出た瞬間の光景を描いています。彼岸の法会に向かう人々の気配や、秋の落ち着いた町の風情が小路の抜け感とともに鮮やかに浮かび上がります。
鐘つけば落つる木の実や秋彼岸
正岡子規【現代語訳】寺の鐘を一つ突くと、その響きに揺られて木の実がぽとりと落ちる、秋の彼岸のことである。 【鑑賞】お彼岸の厳かな寺院で響く鐘の音という「聴覚」と、振動で木の実が落ちる「視覚」が巧みに結びついています。秋の静寂と深まりゆく季節の風情が見事に捉えられた名句です。
経を読む声すずろなる秋彼岸
久保田万太郎【現代語訳】どこからともなく聞こえてくる読経の声が、なんとなく心に染み入る秋の彼岸である。 【鑑賞】「すずろなる」という言葉に、あてもなく物寂しげで、しかしどこか懐かしい情感が込められています。秋彼岸特有の静けさと、心にふと忍び寄る哀愁を素直に詠み上げた一句です。

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