秋の袷

秋の袷

あきのあわせ

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意味・由来

「秋の袷(あきのあわせ)」とは、裏地をつけて仕立てた着物(袷)を、初秋の涼しくなり始めた頃に着ることを指す季語です。春に冬着から着替える「春の袷」に対し、夏の薄物(単衣など)から肌寒さを感じる秋に着替える袷を「秋の袷」または「後の袷(のちのあわせ)」と呼びます。旧暦八月(現在の九月頃)の更衣(ころもがえ)の風習に由来し、肌に触れる布地の心地よい重みや温もり、そして季節が本格的に秋へと移り変わる寂寥感や落ち着きを象徴します。

この季語で詠むコツ

薄着で過ごした夏が去り、袖を通した時の「ずっしりとした重み」や「ふんわりとした温かさ」といった触覚・体感を表現するのがポイントです。また、朝夕の冷気や風の冷たさといった気候の変化、衣替えに伴う暮らしの情景、身近な人や自分自身の身なりに宿る秋の気配などを丁寧に描写すると、生活感と詩情が両立した深みのある句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 気候・情象: 「秋風」「冷やか」「夜寒」「露」「月」
  • 動作・感覚: 「袖を通す」「重き」「温もり」「手擦れ」「重ね着」
  • 暮らし・場: 「鏡」「箪笥」「灯影」「旅」「小道」

秋の袷」の俳句例 (3件)

後の袷また見馴れけり妻の顔
与謝蕪村【現代語訳】秋になって袷に着替えた妻の顔を眺めていると、毎年見慣れたはずの落ち着いた姿が改めてしみじみと感じられることだ。 【鑑賞】「後の袷」は秋の袷のこと。夏の軽やかな装いから袷へと衣替えした妻の姿に、季節のめぐりと長年連れ添った夫婦の情愛や安らぎを静かに捉えた名句です。
袷きて我もいざよふ月見哉
向井去来【現代語訳】秋の袷を着て、十六夜(いざよい)の月の出が遅れるように、私もためらい歩みをとどめながら名月を鑑賞している。 【鑑賞】「いざよふ(ためらう)」に十六夜の月と袷を着た自身のゆるやかな歩みを重ね合わせた雅趣あふれる一句です。秋の夜の冷気の中、袷の温もりに包まれて月を愛でる風情が伝わります。
袷着て旅立むつかし旅心
松尾芭蕉【現代語訳】秋の袷を着て旅立とうとするが、肌寒さも加わって出発の決心がなかなか定まらず、旅心もためらいがちである。 【鑑賞】薄着の夏と違い、重ね着をする秋の旅立ちは身支度も重く、冷えゆく季節への心細さも募ります。袷の持つ物理的な重さと、旅に出る際の心理的な葛藤が巧みに結びついています。

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