秋曇

秋曇

あきぐもり

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意味・由来

「秋曇(あきぐもり)」とは、秋の空一面がどんよりと曇る天候やその空の様子を指す季語です。秋といえば「天高く馬肥ゆる秋」や「秋晴」のような澄み渡る青空が代表的ですが、秋特有のしっとりとした曇り空もまた趣深い情景です。春の「花曇」がどこか華やかで柔らかく霞むのに対し、秋曇はどこか寂寥感や静けさ、落ち着きを帯びています。大気が澄んでいるため、曇っていても光が柔らかく拡散し、もの寂しい季節の深まりを感じさせます。

この季語で詠むコツ

秋曇を詠む際は、単に「暗い」「憂鬱」という感情だけでなく、秋ならではの静寂や哀愁、あるいは思索的な深みを表現するのがコツです。曇り空そのものを描写するだけでなく、その曇り空の下にある日常の光景、街並み、自然の木々や水の佇まいなどに目を向けましょう。色彩が抑えられた世界の中で、人々の静かな営みや心情の揺れ、微細な音・陰影などを捉えると、味わい深い句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

秋曇は落ち着いた雰囲気を持つため、静かな動作や歴史・文学を感じさせる事物と相性が抜群です。

  • 場所・建物:古本屋、寺院、坂道、湖、砂丘、石畳
  • 色彩・陰影:白、灰色、淡い色合い、影、光の鈍さ
  • 行為・感情:歩く、旅、読書、思索、佇む、別れ

秋曇」の俳句例 (3件)

秋曇り古本屋より古本屋
高浜虚子【現代語訳】秋の曇り空の下、一軒の古本屋を出てはまた次の古本屋へと足を運んでいる。【鑑賞】神田の古書店街などを巡る様子をそのまま詠んだような名句です。秋曇特有の落ち着いた光と静けさが、古本の埃っぽさや静かな街歩きの時間と完璧に調和しています。
杉並木いま遠ざかる秋曇り
正岡子規【現代語訳】街道の杉並木が、今まさに後方へと遠ざかっていく。見上げる空は秋曇りである。【鑑賞】旅の乗り物(人力車や列車など)から眺めた風景を写生した句です。重厚な杉並木が遠のいていく動的な感覚と、頭上に広がる静かな秋曇の対比が、旅情と一抹の寂しさを際立たせています。
秋曇りひとりの道となりにけり
日野草城【現代語訳】秋の曇り空の下を歩いていくうちに、いつの間にか道は自分一人だけのものとなっていた。【鑑賞】連れと別れたのか、あるいは人通りのない一本道に入ったのか、秋曇という季語が醸し出す孤独感と内省的な気分が見事に表現されています。

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