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「冬」 の検索結果: 計 41件

季語 (20)

若芝

spring

わかしば

意味・由来 「若芝(わかしば)」とは、春になって冬の枯れ芝の間からみずみずしく芽生え、青々と伸びてきた芝生のことです。夏に力強く繁茂する「青芝(あおしば)」と違い、若芝は芽吹いたばかりの柔らかさや、萌え出る生命の初々しさを感じさせる春の季語です。淡い黄緑色のグラデーションが広がり、地面全体が新しい季節の息吹で満たされていく情景を表します。 この季語で詠むコツ 若芝を詠む際は、視覚的な色の美しさだけでなく、触覚や嗅覚など五感を生かすのがコツです。まだ柔らかい葉を踏みしめたときの弾力、靴を脱いで素足で触れたときの心地よさ、土と草が混ざり合った春特有の匂いなどに着目してみましょう。また、公園のベンチや広場で遊ぶ子どもたちの姿など、人々の穏やかな日常と取り合わせることで、春の明るい開放感がより一層引き立ちます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・光、木漏れ日、やわらかき土、素足(春の日差しや感触を表す言葉) ・公園、広場、ベンチ、幼子、足音(人や日常のぬくもりを添える言葉) ・春光(しゅんこう)、春風(はるかぜ)、長閑(のどか)(春の訪れや穏やかさを強調する春の言葉)

雪箒

winter

ゆきぼうき

意味・由来 「雪箒(ゆきぼうき)」とは、降り積もった雪や、軒先・縁側・石段などにうっすらと落ちた新雪を掃き清めるために用いる箒のことです。竹箒や藁箒、棕櫚などで作られたものが多く、雪国では冬の間、玄関先や勝手口に立て掛けられて日々の生活に欠かせない身近な道具となります。雪をかき分ける大きな除雪具とは異なり、払えばさらさらと舞うような軽い雪を掃くための、素朴で生活感あふれる冬の季語です。 この季語で詠むコツ 雪箒そのものの形や古びた佇まいを描くだけでなく、実際に雪を掃く「動作」や「音」、その場の「空気感」を捉えるのが上達の秘訣です。「さらさら」「さっさっ」と乾いた粉雪を掃く心地よい音や、掃き清められたあとに現れる黒々とした濡れ縁や敷石の色彩の対比を意識してみましょう。また、早朝の静寂や、寒さの中で作業する人の白い息、かじかむ手などを取り合わせると、冬の朝の澄んだ空気と日々の暮らしの温もりが生き生きと伝わります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・場所を表す言葉:石段、玄関、濡れ縁、勝手口、土間 ・動作や状態を表す言葉:払ふ、掃き出す、立て掛く、白息、影 ・五感や情景を表す言葉:さらさら、粉雪、朝光、冷たさ、静けさ

しまり雪

winter

しまりゆき

意味・由来 「しまり雪」とは、降り積もった雪が自らの重みや寒暖差、風などの影響を受け、密度を増して固く締まった雪のことです。降りたての柔らかい新雪とは異なり、足を踏み入れても深く沈み込まず、上を歩けるほどの硬さを持つのが特徴です。雪国では、生活や移動の足取りが新雪の頃とは大きく変わり、冬の深まりや季節の推移を肌で実感させる存在でもあります。厳しい寒さの中で雪が姿を変えていく、力強さと静けさを併せ持った冬の季語です。 この季語で詠むコツ 新雪の儚さや軽やかさとは異なる、「硬さ」「密度」「足裏に伝わる確かな感触」を表現するのがコツです。踏みしめたときの乾いた軋み音や、靴底から伝わる反発力など、五感のうち特に触覚や聴覚を意識すると実感がこもります。また、固く締まった雪面には人や動物の足跡、木々の影がくっきりと残るため、視覚的なコントラストや冬の透明感を際立たせる描写とも非常によく合います。 相性のいい言葉・取り合わせ ・動作や感触を表す言葉(踏みしめる、軋む、歩幅、長靴、確かな重み) ・雪面の様子を映す言葉(青き影、夕日、輪郭、足跡、轍) ・生活や道具の描写(そり、荷車、帰り道、通学路、スキー)

雪明り

winter

ゆきあかり

意味・由来 「雪明り」とは、積もった雪に月光やかすかな星明かり、街の灯などが反射して、夜でもあたりがほの明るく見える現象を指す冬の季語です。深い闇を包み込む白銀の世界は、静かでどこか幻想的な光を放ちます。凍てつく寒さの中でありながら、暗闇を優しく照らすこの明かりに、昔の人々は安らぎや美しさを見出してきました。 この季語で詠むコツ 単に「雪明りで明るい」と状況を説明するのではなく、「雪明りによって何が浮かび上がって見えたか」を具体的に描写することが上達への近道です。例えば、部屋の障子に映る陰影、机の上に置かれた手紙、愛する人の静かな寝顔など、小さな対象に焦点を絞ることで、周囲の静けさや夜の深さが鮮やかに際立ちます。また、外の寒さと室内のぬくもりの対比を意識すると、情緒豊かな一句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ 静寂を際立たせる言葉や、夜の室内を想起させる言葉と非常によく調和します。 ・生活や室内の言葉:障子、畳、本、文机、枕元、寝息、灯火 ・静けさや時間を表す言葉:深閑、しじま、更くる、夜半 ・動作を表す言葉:読み耽る、待つ、見交わす、息をひそめる このように静かな動きや物を取り合わせることで、「雪明り」の持つ清らかな光の質感をより深く表現することができます。

雪婆

winter

ゆきばんば

意味・由来 「雪婆(ゆきばんば)」は、豪雪地帯の伝承に現れる雪の妖怪、あるいは激しい吹雪や軒先に積もった雪の塊を老婆に見立てた冬の季語です。地域によっては「雪降り婆」などとも呼ばれ、吹雪の夜に現れて子供をさらったり凍えさせたりするという民話が残っています。美しく儚い「雪女」に比べ、雪婆には過酷な冬の厳しさ、荒ぶる自然への畏れ、そしてどこか土俗的でユーモラスな不気味さが漂っています。 この季語で詠むコツ 単に雪の景色を描くだけでなく、民話的な物語性や冬の夜の底冷えする感覚を呼び起こすように詠むのがポイントです。風の吹きすさぶ音や戸を叩く音、あるいは暗闇の奥に潜む気配など、聴覚や触覚を意識して取り入れると、雪婆の不気味さや寒冷の凄みが際立ちます。少しユーモラスに擬人化して、愛嬌を持たせる詠み方も面白いでしょう。 相性のいい言葉・取り合わせ 雪婆の持つ土俗的な雰囲気を強める言葉と相性が抜群です。「戸口」「蔀(しとみ)」「囲炉裏」「軒」「提灯」「足音」「風の音」「山里」など、昔ながらの日本の暮らしや自然を感じさせる名詞と合わせることで、雪国の厳しい冬の情緒が鮮やかに立ち上がります。

天王寺蕪

winter

てんのうじかぶ

意味・由来 「天王寺蕪(てんのうじかぶ)」は、大阪の天王寺地域で古くから栽培されてきた「なにわ伝統野菜」の一つで、冬の季語です。やや平べったい独特の丸い形と、甘みのある緻密な肉質が特徴で、煮崩れしにくいため冬の煮物やお漬物に重宝されてきました。かの信州名物「野沢菜」の原種となった野菜としても知られ、江戸時代から人々に深く愛されてきた歴史ある冬の味覚です。 この季語で詠むコツ 一般的な「蕪(かぶら)」と比べて、上方の風土や下町の台所の温もり、庶民的な力強さを表現しやすい季語です。泥のついた力強い姿や、平たい愛嬌のある形状、切った瞬間の白さや瑞々しさに目を向けると生き生きとした句になります。大阪の町や歴史を背景に置くことで、土地の温かみや人の営みを色濃く描き出すことができます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・台所や料理の言葉(煮くづれず、薄削ぎ、出汁、包丁、夕餉) ・土地や歴史を感じさせる言葉(難波、上町、四天王寺、寺町、辻) ・五感を刺激する言葉(泥の香、白妙、重たさ、甘み、湯気)

雪仏

winter

ゆきぼとけ

意味・由来 「雪仏(ゆきぼとけ)」とは、雪を仏の形に丸めて作った像のことです。また、野原や道端の石仏に雪が降り積もって、全身が真っ白な仏様のように見える姿を指すこともあります。雪だるまが親しみやすく無邪気な遊びの象徴であるのに対し、雪仏には神聖さや素朴な信仰心、そして静けさが漂います。白く清らかな姿でありながら、春の訪れや陽射しによっていつかは消えてしまうという、命の儚さや無常観を宿した冬の美しい季語です。 この季語で詠むコツ 単なる「雪の造形物」として描写するのではなく、そこに込められた素朴な祈りや、雪ならではの「白さ」「冷たさ」、そして「儚さ」に着目すると深みが生まれます。例えば、日差しを浴びて少しずつ崩れ、元の雪や水へと還っていく哀愁や、夕暮れの光の中で佇む姿を捉えると情感豊かな句になります。雪だるまとの違いを意識し、少し静かで清らかな情景を描くのがポイントです。 相性のいい言葉・取り合わせ ・動作や状態を表す言葉:合掌、拝む、崩る、溶く、佇む、祈る ・光や時間を表す言葉:夕日、木漏れ日、薄暮、影、日差し ・情景を広げる言葉:山寺、辻、掌、冷たき、無言

藁仕事

winter

わらしごと

意味・由来 「藁仕事(わらしごと)」は、秋の収穫が終わった後の農閑期、冬の間に行われる藁を使った手仕事を指す冬の季語です。脱穀を終えた稲藁を打ち柔らかくし、縄を綯(な)ったり、筵(むしろ)や俵、草履、笠などを編んだりします。寒さの厳しい季節に、日当たりの良い土間や縁側、納屋などに腰を落ち着けて黙々と進める手作業であり、かつての日本の農村における冬の暮らしを象徴する生活感あふれる季語です。 この季語で詠むコツ 藁仕事の情景をありありと伝えるためには、五感を使った描写を意識するのがコツです。藁を木槌で叩く乾いた音や、手のひらで擦り合わせる時の擦過音といった「聴覚」、立ち上る干し草のような芳しい「嗅覚」、さらに藁を扱う荒れた指先や手の温もりといった「触覚」に焦点を当てると深みが増します。また、作業をする人の穏やかな息遣いや、縁側に差し込む冬の日差しなど、静けさや温かさと対比させて詠むと、冬らしい情感が際立ちます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・場所や光:土間、納屋、縁側、冬日、日溜まり ・動作や音:叩く、綯う(なう)、編む、擦れる音、木槌の音 ・道具や身体:槌(つち)、荒れた指、手のひら、白髪、膝

三椏の皮剝ぐ

winter

みつまたのかわはぐ

意味・由来 和紙の主原料となる落葉低木「三椏」を刈り取り、大釜で蒸して柔らかくしたあと、手作業で外皮を剥ぎ取る冬の風物詩です。剥いだ皮は良質な紙の原料となります。寒さが最も厳しい時期に行われる伝統的な下準備であり、山里の作業場に立ち込める湯気や、手際よくつるりと剥かれていく皮の様子は、冬の労働の力強さと温かみを感じさせます。 この季語で詠むコツ 真冬の厳しい寒気と、蒸し上げられた枝の熱気や湯気という「温度の対比」を五感で捉えるのが作句のコツです。また、一本一本丁寧に剥いでいく職人の手先の動きや、剥き出しになった芯の白さ、青々とした外皮の香りなど、具体的な細部に焦点を当てると現場の臨場感が鮮やかに立ち現れます。動詞を含む季語のため、他の言葉は情景を簡潔に述べる程度に留めるとすっきりとまとまります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・触覚や温度を表す言葉(湯気、温もり、冷気、指先、素手) ・作業の場を表す言葉(土間、釜、山里、筵) ・色彩を表す言葉(白し、青空、茜色、冬の日射し)

雪帽子

winter

ゆきぼうし

意味・由来 「雪帽子(ゆきぼうし)」とは、庭石や生け垣、石仏や杭などの頭頂部に、雪が丸くこんもりと積もった様子を、まるで帽子をかぶっているかのように見立てた冬の季語です。自然が作り出す造形を愛嬌のある姿として捉える、日本人の温かな観察眼と遊び心が込められています。厳しい寒さや大雪の情景の中にも、ほっと心が和むような親しみやすさを感じさせる言葉です。 この季語で詠むコツ 雪帽子そのものが擬人化された愛らしい言葉であるため、句全体を甘くしすぎないことが上達の秘訣です。「可愛い」「おもしろい」と直接感情を言葉にするのではなく、何の上にどんな形で乗っているのかを具体的に描写しましょう。例えば、古いお地蔵様の朱色の前垂れとの色彩の対比を描いたり、傾いた杭の寂しげな佇まいと組み合わせたりすることで、愛らしさの背景にある冬の静寂や寒さの深さを際立たせることができます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・石仏、地蔵、道標(祈りや静けさを感じさせる人工物) ・朱、茜、錆(白さを引き立てる色彩の対比) ・傾く、重たげ、朝日、融く(雪帽子の重みや時間の移ろいを示す言葉)

波の花

winter

なみのはな

意味・由来 「波の花」は、冬の日本海などの荒海で見られる特異な自然現象を表す三冬の季語です。真冬の激しい寒風と荒波が岩礁に激しく打ちつけられる際、海水に含まれる植物プランクトンの粘液などが泡立ち、白い綿のような塊となって風に舞い上がります。その軽やかな泡が宙を舞う姿がまるで花びらのように見えることから、この風情ある名が付けられました。特に能登半島の海岸などが名所として知られ、冬の海の厳しさと儚い美しさを象徴しています。 この季語で詠むコツ 「花」という美しい響きに惑わされず、その背景にある真冬の海の荒々しさや寒冷な気候をしっかりと捉えることが肝要です。鉛色の重い空、黒々とした岩肌、吹きつける凍てつく風といった厳しい自然環境を描くことで、白く儚い波の花の存在感がぐっと際立ちます。また、風に乗って飛来し、衣服や岩に触れると一瞬で消えてしまう儚さや、泡が風に吹きちぎれる動的な情景を写し取るのも効果的です。 相性のいい言葉・取り合わせ ・岩礁、断崖、磯、黒き岩 ・日本海、能登、越後、津軽 ・烈風、寒風、鉛色の空、荒波 ・舞い散る、吹き千切る、消えやすき、身にまとふ

雪坊主

winter

ゆきぼうず

意味・由来 「雪坊主」とは、雪だるま(雪達磨)の親しみやすい異称、あるいは木々や庭石などに雪がこんもりと丸く積もって、まるで坊主頭のように見える様子を指す冬の季語です。豪雪地帯において樹木が雪にすっぽりと覆われた造形を指すこともあります。人の手で作られた愛らしい雪だるまの意味でも、自然が偶然作り出した丸い雪の塊の意味でも使われ、素朴でユーモラスな温かみと、雪国ならではの豊かな風情を兼ね備えています。 この季語で詠むコツ 愛嬌のある丸い姿をそのまま詠むのも楽しいですが、冬の厳しい寒さや暮れゆく時間、雪の質感と対比させることで詩情が一気に深まります。例えば、夕暮れの薄暗がりの中にぽつんと佇む孤独感や、日差しを浴びて少しずつ傾き溶けてゆく無常感、あるいは子どもたちが遊び終えた後の静けさなどを捉えるのがコツです。「坊主」という擬人的な響きを活かし、まるで命あるものが見せる健気な表情や哀愁に寄り添うように詠んでみましょう。 相性のいい言葉・取り合わせ ・時間の推移を表す言葉(夕暮れ、黄昏、宵、朝日子、明くるなど) ・姿や状態を捉える言葉(傾く、融くる、崩る、立ち尽くす、影など) ・生活感のある道具や場所(箒、庭先、生垣、畦道、軒下など)

鷲

winter

わし

意味・由来 「鷲(わし)」はタカ科の大型猛禽類の総称で、冬の季語です。オオワシやオジロワシなどが北の地域から越冬のために渡ってくることや、厳しい冬の寒空を雄大に舞う姿から冬の季語と定められました。同じ猛禽類の「鷹(たか)」も冬の季語ですが、鷹が俊敏さや鋭さを象徴するのに対し、鷲はさらに体が大きく、圧倒的な重厚感や王者の風格、そして孤高の存在感を漂わせています。 この季語で詠むコツ 鷲の持つスケールの大きさと、冬の厳しく澄んだ自然を響き合わせることがポイントです。青く凍てつく空、雪をかぶった山々、荒涼とした海岸や断崖などを背景に配すると、その力強さが際立ちます。飛翔する大きな翼の羽ばたきだけでなく、枯れ木や岩頭にじっと佇む鋭い眼光など、静と動のどちらかに焦点を絞って描写すると、引き締まった格調高い句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・自然・風景:雪嶺(せつれい)、断崖、氷海、北風、寒空、冬木 ・鷲の描写:巨翼、鉤爪(かぎづめ)、孤影、眼光、旋回 ・状態・心情:鎮もる、孤高、巌(いわお)、厳然

雪玉

winter

ゆきだま

意味・由来 雪玉とは、積もった雪を手で握り固めて球の形にしたものです。冬の訪れとともに見られる親しみ深い季語であり、主に子供たちの雪合戦や、雪達磨を作るために地面を転がして大きくしていく過程などで生まれます。古代から降雪地域の生活や遊戯の中で自然に親しまれてきた言葉であり、冬の寒さの中にある素朴な楽しさや、人の手の温もりを感じさせる温かみのある季語です。 この季語で詠むコツ 雪玉を詠む際には、単に「丸い」「冷たい」と客観的に説明するのではなく、手に取った時の重みや硬さ、手袋にまとわりつく雪の感触など、身体的な感覚を具体的に描写することが大切です。また、投げる瞬間の緊張感、投げられた雪玉が壁や木に当たって砕け散る一瞬の儚さ、転がすにつれて土や落ち葉を巻き込んでいく生活感など、動的な場面を切り取ると生き生きとした句に仕上がります。子供時代の記憶や、冬の澄んだ光と取り合わせるのもおすすめです。 相性のいい言葉・取り合わせ ・身体の感覚:かじかむ、掌(てのひら)、指先、重み、体温 ・動作や状態:握る、投げる、砕く、転がる、的にする ・情景や小物:毛糸の手袋、茜色の夕暮れ、校庭、路地裏、笑い声

雪返し

winter

ゆきがえし

意味・由来 「雪返し(ゆきがえし)」とは、降り続いた雪がいったん止み、天気が回復に向かうかに見えた後に、再び激しく雪が降り出す現象を指す冬の季語です。寒さが一時的に緩んだ反動のように、さらに厳しい寒気とともに雪がぶり返す厳しさを表しています。北国や山間部など雪深い地域で特に実感される自然現象であり、冬の天候の気まぐれさや容赦のなさを生き生きと伝える季語です。 この季語で詠むコツ 「雪がようやく止んだ」という安堵の気持ちと、直後にやってくる「また降ってきたか」という落胆や諦めといった心の変化を捉えるのが効果的です。青空が一瞬のぞいた後の空の暗転や、急に強まる風の冷たさなど、天候の劇的な急変を五感を使って具体的に写生しましょう。日常の何気ない動作と取り合わせることで、雪国での暮らしの厳しさや臨場感がぐっと際立ちます。 相性のいい言葉・取り合わせ ・心情や動作を表す言葉:「箒置く」「ため息」「戸を閉ざす」「見上げる」 ・天候や光を表す言葉:「束の間の晴れ」「暗雲」「風鳴り」「日差し」 ・生活の情景:「雪かき」「灯火」「足音」「屋根の雪」

雪合羽

winter

ゆきがっぱ

意味・由来 雪合羽(ゆきがっぱ)とは、雪を防ぐために身にまとう外套のことです。古くは油紙や渋紙、厚手の毛織物などで作られ、雪深い地方の生活や冬の旅路において、寒さと湿り気から身を守るための必需品でした。現代における防寒用の上着や合羽にも通じますが、季語としての雪合羽には、雪国の厳しい自然に立ち向かう人々の暮らしや、冬の旅人の哀愁、どこか素朴で力強い風情が込められています。 この季語で詠むコツ 雪合羽そのものの形状を説明するのではなく、それを着ている「人物の動き」や「周囲の厳しさ」を描写するのが上達の近道です。例えば、肩に積もった重い雪を払い落とす仕草や、雪明かりのなかを黙々と歩く姿などを捉えると、寒さや臨場感が際立ちます。また、戸外の厳しい雪景色と、合羽を脱いだ後の室内の温もりといった対比を意識して詠むのも効果的です。 相性のいい言葉・取り合わせ ・動作を表す言葉:払ふ(はらう)、脱ぐ、急ぐ、軋む(きしむ)、すくめる ・情景を深める言葉:峠、宿場、暮れ方、雪明かり、吹雪、街道 ・感覚に訴える言葉:肩重し、凍つ、息白し、灯影(ほかげ)

伝奏下

newyear

てんそうくだり

意味・由来 「伝奏下(てんそうくだり)」とは、江戸時代に朝廷から幕府(将軍)へ年頭の祝辞を伝えるために、京都から江戸へと下向した勅使の一行を指す新年の季語です。朝廷と幕府の橋渡し役である「武家伝奏」を務める公卿が、新春の儀礼として東海道を下ったことに由来します。新年の厳粛さと、都から江戸へ向かう旅情、そして公家の雅やかさと格式が漂う歴史的な季語です。 この季語で詠むコツ 単に古い歴史の風俗を追うだけでなく、新春の街道の清々しい空気や、旅の情景を鮮やかに立ち上がらせることがポイントです。晴れ渡る空や雪景色、富士の嶺など、道中の壮大な自然美と重ね合わせると新年の慶びが引き立ちます。また、京都風の雅な道具立てや威儀を正した行列の静けさ、宿場の賑わいといったコントラストを描き出すと、深みのある一句になります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・地名や街道(東海道、箱根、鈴鹿、宿場町など) ・風景や自然(初富士、雪嶺、朝晴、冬日など) ・旅や儀礼を思わせる言葉(駒、駕籠、供揃い、供奉など)

雪げ

winter

ゆきげ

意味・由来 「雪げ(ゆきげ)」とは、今にも雪が降り出しそうな空模様や、肌を刺すような寒さ、独特の大気の気配を指す冬の季語です。「雪気」とも書き表されます。実際に雪が降っている状態ではなく、雪の降る前触れとして空が重く鈍色に曇り、シンと静まり返って底冷えする、あの独特の張り詰めた空気を表します。古くから人々は、肌感覚や空の色、風の匂いから雪の気配を敏感に察知し、生活の知恵や詩情として愛でてきました。 この季語で詠むコツ 「雪げ」を詠む際は、まだ雪が降っていないという「予感」や「静けさ」を描くことが一番のポイントです。雪そのものを描写するのではなく、どんよりと垂れ込めた雲の重さ、風がふっと止んだ瞬間の異様な静寂、あるいは鼻の奥がツンとするような冷気など、五感で捉えた「雪の前兆」を言葉にしてみましょう。日常のふとした仕草や風景と結びつけることで、雪を待つ時間特有の張り詰めた臨場感が際立ちます。 相性のいい言葉・取り合わせ 雪が降る直前の情景を想起させる言葉と好相性です。 ・視覚:鈍色(にびいろ)、鉛色の空、暮れなづむ、山裾の雲 ・触覚・感覚:底冷え、鼻のつめたき、風のやみたる、静けさ ・生活・人事:薪を積む、障子、襟を合わす、灯をともす まだ雪が落ちてこない緊迫感や静けさを、生活感や身近な風景と対比させると味わい深い句になります。

雪消

spring

ゆきげ

意味・由来 「雪消(ゆきげ)」とは、冬の間に降り積もった雪が、春の暖かな日差しや風を受けて解けていく現象、またその解けかけた雪や解け水を指す春の季語です。「雪解(ゆきげ・ゆきどけ)」と同義ですが、「消」の文字が使われることで、雪が消え去り大地が姿を現していく静かな移ろいや、はかなさ、温もりの広がりといった詩情がより強く感じられます。長く厳しい冬を耐え抜いた地に、待望の春が巡ってきた喜びと安堵を象徴する言葉です。 この季語で詠むコツ 雪が解けていく視覚的な情景だけでなく、耳に届く水音や匂いなど、五感を用いて捉えることが魅力的な句を作る秘訣です。雪が水へと戻り滴る音、せせらぎの音、湿り気を帯びた土の匂いなどに着目してみましょう。また、解けた雪の下から黒々とした土や名もなき草の芽が顔を出す瞬間など、コントラストを意識して具体的に描くことで、春の生命力が鮮やかに立ち上がります。 相性のいい言葉・取り合わせ ・大地や景色の言葉(無季・春):黒土、畦道、山肌、せせらぎ、雫 ・春の気配を感じる言葉:芽、光、風、潤い、温もり ・感覚を伝える言葉:滴る、緩む、現る、匂う

霜枯

winter

しもがれ

意味・由来 「霜枯」とは、幾度となく降りた強い霜によって、草木がすっかり枯れ果ててしまった様子を表す冬の季語です。秋の終わりから初冬にかけて降りる霜は、植物の水分を奪い、青々としていた葉や茎を茶褐色に変えてしまいます。単に植物が枯れるだけでなく、厳しい寒気や霜という自然の厳しさが背景にあり、色彩が失われた冬枯れの風景の中に、張り詰めた冷気と寂寥感が漂う言葉です。 この季語で詠むコツ 単に「寂しい」「寒々としている」といった主観的な感情を詠むのではなく、具体的な景色や感覚を描写するのが上達の近道です。例えば、霜枯れた野原に差し込む冬の日差しの鋭さや、乾いた草を踏むときの微かな音、あるいは葉を落とした茎の幾何学的な美しさなどに着目してみましょう。徹底して枯れ尽くした景色を描くことで、かえってそこに残る大地の静寂や、春を待つ力強さが際立ちます。 相性のいい言葉・取り合わせ 枯れた風景の中に小さく動くものや、乾いた質感を際立たせる言葉とよく調和します。 ・光や風:「日射し」「薄日」「乾く」「夕風」など ・場所や情景:「畑」「あぜ道」「庭石」「垣根」など ・小さな生命:「雀」「鵯」「犬の足音」など 静かな景色のなかに、光の陰影やかすかな動きを取り合わせると、奥行きのある一句に仕上がります。

俳人 (1)

俳句 (20)

面白し雪にやならん冬の雨

手違ひの多くて暮るゝ冬の雨

冬海や人岩に居て魚を待つ

いたゞきのふつと途切れし冬木かな

照り曇り心のまゝの冬日和

天気やゝおちたるかとも冬日和

冬枯や蛸ぶら下る煮賣茶屋

冬枯やいよ/\松の高うなる

冬枯に枯葉も見えぬ小笹哉

冬枯のうしろに高し不二の山

冬枯の野に學校のふらふ哉

冬枯の磯に今朝見るとさか哉

冬の山低きところや法隆寺

冬山や身延と聞いて駕籠に覚む

学校に冬山の径の一とうねり

冬山や馬も清らに藁を敷く

冬山や人猿に似て菓子を売る

冬川の涸れて蛇籠の寒さ哉

冬川の涸れて蛇籠の寒さ哉重出

はげそめてやゝ寒げ也冬紅葉