馬の市

馬の市

うまのいち

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意味・由来

「馬の市(うまのいち)」は、農耕用や運搬用の馬を売買するために開かれた市場のことで、三秋(秋全般)の季語です。「馬市(うまいち)」「駒の市(こまのいち)」とも呼ばれます。収穫期を控えた秋や農閑期に入る時期に、各地の神社仏閣の境内や広場、宿場町などで定期的に立ちました。各地から集まった多数の馬たちの嘶(いなな)きや足音、馬喰(ばくろう=仲買人)たちの威勢のいい掛け声、買い手と売り手の真剣な駆け引きなど、活気と熱気に満ちた秋の風物詩でした。

この季語で詠むコツ

馬の力強い体躯や荒い鼻息、巻き上がる土煙といった「動的なエネルギー」を鮮やかに切り取るのが基本の型です。一方で、市が終わった後の静まり返った夕暮れや、売られていく馬と別れる飼い主の切なさなど、「哀愁や静けさ」との対比を描くのも味わい深い表現になります。また、馬の毛並みに映える秋の陽射しや冷たい秋風など、秋ならではの光や空気感を添えると、情景のリアリティがぐっと増します。

相性のいい言葉・取り合わせ

・視覚:秋日(あきび)、夕日、土煙、馬の毛並み、手綱、木立 ・聴覚:嘶き、蹄の音、人声、ざわめき、風の音 ・感情・情景:別れ、商い、山里、街道、名残

馬の市」の俳句例 (3件)

旅人の心にも似よ馬の市
松尾芭蕉【現代語訳】馬の市で次々に馬や人が入れ替わり去っていく様子は、ひとところに留まらない旅人の浮き草のような心にも似ていることだ。 【鑑賞】市に集まっては散っていく馬や人々の移ろいを、常に漂泊を続ける旅人の境涯と重ね合わせて詠んだ一句です。賑やかな馬市の奥にある無常観や寂寥感が漂います。
馬の市たち去る草の夕日かな
与謝蕪村【現代語訳】馬の市が終わり、人々や馬が立ち去ったあとの草原に、秋の夕日が寂しく照り映えている。 【鑑賞】昼間の喧騒が嘘のように静まり返った馬市の跡地を描いています。踏み荒らされた草地に斜めに差し込む秋の夕日の情景が、祭りの後のような切なさを絵画的に表現しています。
馬の市人の心もうつり行く
上島鬼貫【現代語訳】馬の市で取引が進むにつれて、売り買いする人々の関心や気持ちも目まぐるしく移り変わっていく。 【鑑賞】品定めをする人々の駆け引きや、次々と買い手が決まっていく様子を鋭く観察した句です。馬の売買という世俗的な現場における人間の心理の動きを的確に捉えています。

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