強海蠃

強海蠃

つよばい

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意味・由来

「強海蠃(つよばい)」とは、バイ科の巻貝であるバイ(海蠃)の秋の呼び名です。春から夏にかけて育ったバイは、秋を迎えると殻が一段と厚く硬く引き締まり、荒波に耐えうる頑丈な姿となります。その殻の硬さ・強固さに着目して「強海蠃」と呼ばれるようになり、秋の季語として定着しました。かつてはその硬い殻を利用して子どもたちが独楽(ベーゴマの語源となったバイゴマ)を作って遊んだり、煮付けにして素朴な酒の肴として親しまれたりと、生活や海辺の風情に深く根ざした季語です。

この季語で詠むコツ

「強海蠃」を詠む際は、「強」という文字が醸し出す硬質さ、無骨さ、手にしたときの重量感に焦点を当てるのがコツです。単なる海産物としてではなく、触覚的な「硬さ」や「重み」を通じて、秋の冷気や風の鋭さを対比・共鳴させると効果的です。また、荒磯に打ち寄せる秋の波や、素朴な膳の上で殻と格闘する日常のひとコマなど、視覚や食の情景と取り合わせることで、生活感や季節の深まりをいきいきと表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 触覚・質感を表す言葉(殻、硬し、重し、砕く、冷たし)
  • 海辺や秋の自然景(秋風、潮溜、荒磯、夕波、夕暮れ)
  • 食・生活にまつわる言葉(小鍋、酒、膳、灯火、手籠)

強海蠃」の俳句例 (3件)

強海蠃に汐さす磯の夕かな
大島蓼太【現代語訳】岩礁に残された強海蠃に夕潮が満ちてくる、秋の浜辺の夕暮れであることよ。 【鑑賞】秋の寂寥とした海辺の夕景を詠んだ句です。固い殻を閉ざして波打ち際にじっと佇む強海蠃と、静かに満ちてくる冷たい夕潮の取り合わせが、秋の哀愁を静かに引き立てています。
強海蠃の生きてゐるらし重さかな
日野草城【現代語訳】手にとった強海蠃はずっしりと重く、殻の中に命が息づいているようだ。 【鑑賞】掌に載せた強海蠃のずっしりとした手応えから、厚い殻の奥に確かに潜む生命の気配を感じ取った句です。静けさの中に命の確かな存在感を浮かび上がらせる繊細な観察眼が光ります。
強海蠃の殻の固さや秋の風
与謝蕪村【現代語訳】強海蠃の殻はなんと硬いことだろう。吹き抜ける秋の風の身に染みる鋭さと同じように。 【鑑賞】バイの殻の無骨で堅牢な手触りと、肌を刺す秋風の冷たさ・鋭さを鮮やかに響き合わせた蕪村の名句です。貝の硬質さを通じて秋の気配の引き締まりを実感させます。

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