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「蔓珊瑚(つるさんご)」とは、山野の林下に自生するアカネ科の常緑蔓性小低木「ツルアリドオシ(蔓蟻通し)」が、秋に実らせる鮮やかな赤い果実のことです。初夏に二輪寄り添って咲く小さな白い花が結実したもので、秋が深まるにつれて緑の葉の間から珊瑚玉のような艶やかな丸い実を覗かせます。その姿が海の本珊瑚の珠を連ねたように美しいことから「蔓珊瑚」の名がつきました。濃い緑の葉と鮮紅色の実の鮮烈な対比、そして地を這うように広がる控えめながらも気品ある姿が、古くから茶花や盆栽としても愛されています。
蔓珊瑚を詠む際は、その「赤の鮮やかさ」と「慎ましやかな佇まい」に焦点を当てるのが基本です。ツルアリドオシの果実は、二つの花の基部が合着して一つの実になるため、実の頂部に花の名残である二つの小さな窪み(窪孔)があります。この繊細な特徴を観察して詠み込むと、単なる赤い実の描写にとどまらない深い写生になります。また、日陰や苔むした地面、庭石を這う姿から、山林の静けさや湿り気、秋の澄んだ空気を対比させると情景が鮮やかに立ち上がります。
・視覚・色彩の言葉:深緑(ふかみどり)、紅(くれない)、露、木漏れ日、影 ・場所・風情の言葉:古庭、苔(こけ)、庭石、這ふ、山門、鉢 ・状態・質感の言葉:濡るる、零(こぼ)る、粒、二つ
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