灯籠見物

灯籠見物

とうろうけんぶつ

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意味・由来

「灯籠見物(とうろうけんぶつ)」は、初秋の盂蘭盆(うらぼん)の夜、寺院の境内や町辻、民家の軒先などに飾られた様々な盆灯籠(絵灯籠や切子灯籠など)を見て回ることを指す秋の季語です。「灯籠見(とうろうみ)」とも呼ばれます。精霊を迎え慰めるための厳かな宗教行事でありながら、趣向を凝らした灯火の美しさや細工の風流さを鑑賞する娯楽・納涼の意味合いも強く、江戸時代から庶民に親しまれた初秋の風物詩です。

この季語で詠むコツ

灯籠の淡い明かりが照らし出す情緒や陰影、そして行き交う人々のざわめきと夜風の涼しさを五感で描写することがポイントです。信仰心の静けさと祭り特有の賑やかさという二面性を持つため、光と闇、動と静の対比を意識すると奥行きが生まれます。単に「綺麗だ」と述べるのではなく、川沿いの暗がり、立ち止まる人の表情、ふと遠ざかる足音など、見物の道中の具体的な一コマを切り取ると情感豊かな句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・空間・情景:川風、橋の上、小路、水辺、闇、月夜、軒端 ・動作・人物:連れ立つ、すれ違う、下駄の音、浴衣、団扇 ・感覚:ほの白し、あたたかき光、涼やか、名残り惜し

灯籠見物」の俳句例 (3件)

灯籠見の人のうしろや月の道
正岡子規【現代語訳】灯籠見物へと向かう人々の後ろ姿を追いながら、月光が明るく照らす道を歩いてゆくことだ。 【鑑賞】灯籠の明かりを目指してそぞろ歩く人々の背中と、夜道を澄んだ光で照らす秋の月が美しく調和した一句です。人工の淡い灯火と、自然の清らかな月光の対比が、秋の夜の心地よい涼感と風情を静かに描き出しています。
灯籠見や月待つほどの宵の口
榎本其角【現代語訳】灯籠を見物に出かけたが、ちょうど宵の月が空に昇るのを心待ちにするような、まだ暮れきらない宵の口であることよ。 【鑑賞】これから本格的な夜を迎え、灯籠の光が冴えてゆく時間帯の期待感を詠んでいます。江戸座らしい洒脱な視点で、暮れなずむ空の明るさと、やがて始まる灯籠と月の競演を予感させる軽やかな句です。
灯籠見や子供あつまる角の宿
小林一茶【現代語訳】灯籠見物の夜、辻の角にある宿場町の家の前に、楽しそうに子どもたちが集まっていることだ。 【鑑賞】盆灯籠の明かりに引き寄せられるようにして集まった子どもたちの無邪気な賑わいを素朴に捉えています。華美な灯籠そのものよりも、そこに集う市井の人々の暮らしや温もりを温かい眼差しで見つめる一茶らしさがあふれています。

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