巴草

巴草

ともえそう

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意味・由来\n巴草(ともえそう)は、オトギリソウ科の多年草で、日当たりのよい山野や高原に自生します。初秋から秋にかけて、鮮やかな黄色の五弁花を咲かせます。最大の特徴は、5枚の花弁がすべて一方向にねじれてスクリューや風車のように咲く姿で、その形が家紋などの「巴(ともえ)」の紋様に似ていることからこの名がつきました。花の中央には多数の雄しべが放射状に伸びており、華やかさとどこか動的な面白さを併せ持っています。秋の野山に静かに、しかし回転するような躍動感をもって咲く姿は、古くから風情ある秋の草花として親しまれてきました。\n\n### この季語で詠むコツ\n巴草を詠む際は、花弁が巴形にねじれて渦を巻いているという「造形の特異さ」や、まるで風を孕んで回りだしそうな「動き(動勢)」に着目するのが基本のコツです。実際に風が吹いて揺れる様子や、高原の澄んだ秋の日差し、あるいは野分(台風)の前の張り詰めた空気などと取り合わせることで、花特有のひるがえるような姿が鮮明に立ち現れます。静止した花でありながら、回転運動や風を感じさせる描写を意識すると、他の秋の黄色い花(女郎花など)との違いを明確に描き出すことができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 風・大気: 高原の風、野分(のわき)、山気(さんき)、日ざし\n- 場所: 峠、山路、高原、草泊り、石切場\n- 動詞・形容詞: ひるがへる、めぐる、ねぢる、渦巻く、鮮やか、黄なる

巴草」の俳句例 (3件)

巴草ひるがへり咲く峠かな
水原秋櫻子【現代語訳】峠の道に、巴草が花びらをひるがえすようにして咲いていることだなあ。\n【鑑賞】峠を吹き抜ける秋の爽やかな風を受けて、巴形にねじれた黄色い花びらが今にも回りだしそうに咲いている情景を捉えています。秋櫻子らしい明快で絵画的な色彩感覚と、風の動きを花そのものの形状に重ねた爽快な一句です。
巴草黄をつくしたる野分かな
皆川盤水【現代語訳】巴草がこれ以上ないほど鮮やかな黄色を極めて咲いている、その上を野分(台風の強い風)が吹き抜けていく。\n【鑑賞】暴風雨が近づく野分空の下、一際あざやかに黄金色の光を放つ巴草の力強さを詠んでいます。ねじれた花弁が荒々しい風に対峙して黄色をきらめかせる姿に、秋の深まりと自然の厳しさが凝縮されています。
巴草咲いて山気のこもらざる
森澄雄【現代語訳】巴草が咲いていて、山特有の重く湿った気配も籠もることなく、からりと晴れ渡っている。\n【鑑賞】山あいに咲く巴草の黄色く開放的な咲き姿によって、あたりの山の空気までもが風通しよく澄み渡っているように感じられる瞬間を詠んでいます。巴草の軽やかで動的な存在感が、風景全体を明るく浄化している秀句です。

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