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「棚経(たなぎょう)」とは、お盆の期間に菩提寺の僧侶が檀家を一軒一軒巡り、先祖の霊を迎えるために設けた精霊棚(盆棚)の前で読経することを指します。旧暦7月(現在は8月中旬が多い)の初秋の季語です。夏の厳しい暑さが残る中、僧侶は袈裟をまとい、汗を流しながら家々を回ります。迎える家々ではお布施やお茶を用意して待ち、僧侶が到着すると静かに手を合わせます。お盆ならではの敬虔な信仰心と、夏の終わりの生活感が溶け合い、どこか親しみやすさと哀愁を感じさせる季語です。
読経そのものの厳かさを詠むのも良いですが、棚経にまつわる「前後の慌ただしさ」や「生活の匂い」を切り取ると生き生きとした句になります。たとえば、炎天下をバイクや自転車で駆け抜ける僧侶の汗、走り去る音、僧侶が立ち去った後のほっとした脱力感や部屋に残る線香の匂いなど、五感を生かした情景描写が効果的です。また、迎える家族や子ども、ペットの様子を描くことで、日常と非日常の交差をユーモラスに、あるいは温かく表現できます。
・音や気配:りんの音、バイクの音、下駄の音、静けさ、足音 ・夏の余名残り:汗、団扇、冷茶、夕立、すだれ、風鈴 ・盆の風物:盆棚、蓮の葉、線香の煙、精霊馬、ほおずき
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