蓼の穂

蓼の穂

たでのほ

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意味・由来

「蓼の穂(たでのほ)」は、秋にタデ科の植物(イヌタデやヤナギタデなど)が咲かせる、粒のような小さな花がつらなった穂状の花姿を指す仲秋の季語です。「蓼食う虫も好き好き」の諺で知られる辛味のあるヤナギタデや、道端でよく見かける赤紫色の粒粒が「赤まんま」として親しまれるイヌタデなどが含まれます。秋が深まるにつれ、水辺や野道に紅や薄紅、あるいは白っぽい小粒の穂がひっそりと揺れる様子は、素朴でどこか哀愁を感じさせ、日本の秋の原風景を象徴する風情があります。

この季語で詠むコツ

「蓼の穂」を詠む際は、その小粒な花が集まる繊細な形状や、鮮やかな赤・薄紅の色彩に着目するのが効果的です。豪華な秋の花とは異なり、雑草のように路傍や水辺にそっと群生する素朴さが魅力です。雨や朝露に濡れた粒の輝き、澄んだ秋の光の射し方、あるいはさらさらと流れる小川の水音など、周囲の静けさや自然の移ろいと対比させることで、小さな存在感を引き立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・光:「紅(くれない)」「赤」「露」「うす日」「夕影」 ・水辺や景情:「小川」「せせらぎ」「野道」「水音」「土手」 ・天候・気配:「秋雨」「夕風」「暮れて」「静けさ」

蓼の穂」の俳句例 (3件)

蓼の穂の赤きを誰に見せようぞ
細見綾子【現代語訳】蓼の穂が鮮やかに赤く色づいているが、この美しさを一体誰に見せたらよいのだろうか。 【鑑賞】野道にひっそりと群れ咲く蓼の穂の鮮やかな紅色に目を奪われた瞬間の、作者の素直な驚きと孤独な愛惜が込められた名句です。人に気づかれにくい道端の美しさを自分だけが見つけた喜びと、それを分かち合いたい心の揺らぎが抒情豊かに響きます。
水の音蓼の穂赤く傾きぬ
渡辺水巴【現代語訳】せせらぐ水の音が聞こえるなか、赤く染まった蓼の穂が水面に向かって傾いている。 【鑑賞】聴覚の「水の音」から視覚の「蓼の穂赤く」へと鮮やかに視点が移る、端正で清冽な秋の情景句です。細やかな穂が水辺の風や自重でしなやかに傾く姿が、秋の静けさと澄んだ空気感を際立たせています。
蓼の穂の紅濃き雨となりにけり
杉田久女【現代語訳】降り続く雨に濡れて、蓼の穂の紅色がいっそう深く鮮やかになってきたことだ。 【鑑賞】秋の冷たい雨に打たれることで、蓼の穂の赤みが潤いを増して際立っていく様子を捉えています。雨に濡れる湿潤な空気感と、粒々とした穂の艶やかな色との対比が、しっとりとした情緒を鮮明に描き出しています。

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