捨案山子

捨案山子

すてかがし

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意味・由来\n「捨案山子(すてかがし)」とは、秋の稲刈りがすべて終わったあとも、田んぼにそのまま取り残されたり、打ち捨てられたりしている案山子(かかし)のことです。\n実りの時期には鳥を追い払う守り手として重宝されていた案山子が、役目を終えたとたんに誰からも顧みられず、傾いたり倒れかけたりしている姿には、独特の哀愁や無常感が漂います。秋の収穫の喜びの裏にある寂寥感や、季節の移ろいを象徴する晩秋の季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n役目を終えて放置された案山子の「姿貌(傾き、破れた笠、うなだれた首など)」と、刈り取られて広々とした「刈田の風景」との対比を描くのがポイントです。単に「かわいそう」と感傷に浸るだけでなく、どこかユーモラスな佇まいや、役目を果たし終えた静けさ・安堵感を捉えると、深みのある句になります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 刈田・刈跡(かりた・かりあと):収穫後の田んぼの寂しさを強調します。\n- 夕日・秋風・時雨(ゆうひ・あきかぜ・しぐれ)晩秋の寒々とした光景や移ろいを演出します。\n- 一本足・傾く・笠(いっぽんあし・かたむく・かさ):捨案山子の具体的な佇まいを描写する言葉と相性が抜群です。

捨案山子」の俳句例 (3件)

捨案山子何をおもひて立ちゐるや
高浜虚子【現代語訳】役目を終えて捨て置かれた案山子は、いったい何を思ってぽつんと立ち続けているのだろうか。\n【鑑賞】稲刈りが終わった寂しい田んぼに残された案山子に、人のような心を重ねて問いかけている句です。役目を終えてなお佇む姿への共感と、晩秋の静寂が素直な言葉で表現されています。
捨案山子首の傾くままにして
稲畑汀子【現代語訳】捨て置かれた案山子は、首が傾いた状態のまま、直されることもなく立ち尽くしている。\n【鑑賞】誰の手入れも受けなくなった捨案山子の哀愁と脱力感を、「首の傾くままにして」という写生的な描写で見事に捉えています。余計な感情を交えずに描くことで、かえって深い情趣がにじみ出ています。
捨案山子一本足の崩れけり
富安風生【現代語訳】役目を終えて放置されていた案山子が、支えていた一本足ごとついに崩れ落ちてしまった。\n【鑑賞】最後まで必死に立っていた案山子が限界を迎えて倒れる瞬間を捉えた句です。「一本足」という案山子本来の危うい支えが崩れる描写を通して、実りの秋の完全な終わりと冬の訪れを実感させます。

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