酔楊妃

酔楊妃

すいようひ

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意味・由来\n「酔楊妃(すいようひ)」は、アオイ科の落葉低木である「酔芙蓉(すいふよう)」の雅称・別名です。朝に白く咲いた花が、時間が経つにつれて徐々にピンク色に染まり、夕方から夜にかけて紅色へと変わっていく特徴があります。この移ろう花色の変化を、唐の玄宗皇帝に愛された絶世の美女・楊貴妃が酒に酔ってほんのりと頬を赤らめた美しい姿に見立てて名付けられました。秋の澄んだ空気の中で、一日限りの命を艶やかに染め上げて散っていく、非常に風情のある秋の植物季語です。\n\n### この季語で詠むコツ\n酔楊妃を詠む最大のポイントは「時間の経過」と「色の変化」の捉え方にあります。朝の清潔感ある純白から、昼の淡紅、夕暮れの艶やかな深紅へと変わるグラデーションをどう切り取るかが鍵となります。一日花としての儚さ、あるいは夕暮れの光や雨との対比を描くことで、楊貴妃の伝説にふさわしい妖艶さや哀愁を引き立たせることができます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・色彩・光の語:夕暮、日影、薄暮、深紅、茜、残照\n・天候・情景の語:秋雨、雨冷(あまびえ)、露、水音、夕風\n・状態・情感の語:ほろ酔ひ、移ろふ、崩る、恥ぢらふ、儚し

酔楊妃」の俳句例 (3件)

雨冷の暮れゆく色や酔楊妃
及川貞【現代語訳】冷え冷えとした秋の雨のなか、夕暮れが近づくにつれて、酔楊妃の花が次第に紅色へと深まっていくことよ。\n【鑑賞】肌寒さを感じる秋雨の薄暗がりの中で、刻一刻と紅を増していく酔楊妃の花を捉えた一句です。雨の冷たさと、酒に酔うように熱を帯びて色づく花の対比が際立ち、しっとりとした情緒を醸し出しています。
酔楊妃崩るるまでの紅ならず
鍵和田秞子【現代語訳】酔楊妃の花は、咲き崩れてしまうほどの乱れた紅に染まるわけではなく、気品ある色合いを保っている。\n【鑑賞】一日でしぼんでしまう酔芙蓉ですが、最後まで品格を失わない花の美しさを「崩るるまでの紅ならず」と表現しました。楊貴妃の気品ある美しさを重ね合わせ、抑制された艶やかさを讃えています。
酔楊妃紅となりたる夕日影
高浜年尾【現代語訳】酔楊妃の花がすっかりあでやかな紅色に染まった頃、傾いた夕日の光が優しく照らし出している。\n【鑑賞】夕日の残照と、夕方に最も濃く色づく酔楊妃の紅色が見事に呼応しています。一日の終わりを告げる光の情景と花の命の頂点が重なり合い、秋の夕暮れの美しさを真っ直ぐに描写した名句です。

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