秋汀

秋汀

しゅうてい

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意味・由来

「秋汀(しゅうてい)」とは、秋の水際や波打ち際、渚(なぎさ)を意味する季語です。「汀(てい/みぎわ)」は水と陸地が交わる境目を指します。夏の海水浴場や水辺の賑わいが去り、秋特有の澄み渡った空気と寂寥感が漂う渚の情景を表しています。冷ややかに澄んだ水、乾いた砂浜、静かに寄せては返す波の音など、清澄で哀愁を帯びた美しさがこの季語の真骨頂です。

この季語で詠むコツ

夏の渚との対比を意識し、秋ならではの「静けさ」「透明感」「光の陰影」「人の気配の少なさ」を捉えるのが基本です。視覚的には白波のきらめきや砂に残る紋様、打ち寄せられた貝殻や流木などに注目すると情景が引き立ちます。また、潮騒や風の音といった聴覚要素や、秋風の冷たさを感じさせる触覚要素を組み合わせることで、奥行きのある情緒深い句が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 視覚的要素:白波、夕日、砂紋、足跡、流木、貝殻
  • 聴覚・感覚的要素:潮騒、秋風、夕暮、潮の香、冷やか
  • 動作・情景:引き潮、佇む、打ち寄す、暮れ残る

秋汀」の俳句例 (3件)

夕浪のくだけて白し秋汀
寺田寅彦【現代語訳】夕暮れの波が崩れて白く泡立つ、秋の渚であることよ。 【鑑賞】夕暮れ時の秋の渚に打ち寄せる波の白さが、徐々に薄暗くなっていく周囲の情景と鮮やかな対比を見せています。物理学者でもあった寺田寅彦らしい、自然現象を澄んだ視線で見つめた無駄のない写実的な一句です。
秋汀に舟つなぎたる夕日かな
正岡子規【現代語訳】秋の渚に舟が繋ぎ止められており、そこに美しい夕日が照り映えていることだ。 【鑑賞】静まり返った秋の水辺に一艘の舟が舫われ、傾く夕日に照らされている情景を詠んだ句です。余計な装飾を削ぎ落とした素直な写生によって、秋汀の静謐さと夕暮れの哀愁が一幅の絵のように浮かび上がってきます。
舟引の繩たゆみゆく秋汀
高浜虚子【現代語訳】舟を引く綱がふっと緩んでいく、秋の静かな渚であることよ。 【鑑賞】舟を引く労働の中で、ぴんと張っていた綱がふと緩む一瞬の動きを捉えた句です。秋の汀に流れる緩やかでどこかもの寂しい時間と空気感が、「繩たゆみゆく」という的確な描写によって鮮やかに描き出されています。

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