秋冷

秋冷

しゅうれい

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意味・由来\n「秋冷(しゅうれい)」は、秋が深まるにつれて感じられる肌寒さや、冷え冷えとした澄んだ空気感を指す晩秋の季語です。手紙の時候の挨拶「秋冷の候」としても馴染み深い言葉ですが、俳句では単に気温が低いことだけでなく、空気が澄み渡り、身も心も引き締まるような清冽な冷気を表現する際に用いられます。「冷やか」や「朝寒」「夜寒」といった類語と比べ、漢語ならではの格調高さや知的な静けさ、凛とした情感を強く帯びているのが特徴です。\n\n### この季語で詠むコツ\n「秋冷」は冷たさを表す概念的な言葉でもあるため、読者にその寒さや澄んだ空気を実感してもらうには、具体的で触覚的・視覚的な事物と取り合わせることが肝心です。金属、水、ガラス、硯(すずり)、紙など、冷たさを伝えやすい硬質・無機質なものや、静寂を感じさせる室内・風景を描写すると季語が際立ちます。体感した冷気そのものだけでなく、冷気によって研ぎ澄まされた思考や心の内面を描くのにも適しています。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 文具・書斎の道具(硯、墨、万年筆、原稿用紙、机、書棚)\n- 硬質・透明なもの(硝子窓、白磁、水、刃物、眼鏡)\n- 光や影・色彩(白、夕影、月光、夜半、藍色)\n- 動作・状態(研ぐ、澄む、ひしめく、触れる、閉ざす)

秋冷」の俳句例 (3件)

秋冷やわが手にとほる硯の気
久保田万太郎【現代語訳】秋の澄んだ冷気が満ちて、墨をすり文字を書く自分の手に、硯の石の冷たさがじんわりと伝わってくることだ。【鑑賞】墨をすりながら書道や執筆に向かう静かな時間、硯という冷たく硬い石を通して秋の冷気が体に入り込んでくるような感覚を描いています。静寂と研ぎ澄まされた集中力が伝わる秀句です。
秋冷や夜半の机の上のもの
星野立子【現代語訳】秋の寒さが深まる夜更け、ふと机の上を見渡すと、置かれた一つひとつのものが冷え冷えと静まり返っている。【鑑賞】夜更けの書斎に漂う秋の冷気を、机の上に散らばるペンや本、紙といった具体的な物の佇まいから捉えています。派手な描写を避け、身近な日常の切り取りから秋冷の深まりを自然に感じさせる名句です。
秋冷や障子をあけて見る日影
正岡子規【現代語訳】秋の冷気が肌にしみる中、障子を少し開けて庭に差し込む淡い日の光を眺めている。【鑑賞】部屋の中にこもる冷気と、障子を開けた先に差すかすかな秋の陽光との対比が鮮やかです。病床にあっても五感を研ぎ澄まし、わずかな光の温もりと季節の寒冷さを繊細に捉えた子規らしい清らかな写生句です。

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