鴫の羽搔

鴫の羽搔

しぎのはがき

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意味・由来

「鴫の羽搔(しぎのはがき)」とは、秋の水辺に群れたり佇んだりしている鴫(シギ)が、嘴(くちばし)を使って丹念に自らの羽を繕ったり、羽ばたいて整えたりする仕草を指す季語です。 鴫は古来、西行法師の「心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮」に代表されるように、秋の寂寥感や夕暮れの情趣を象徴する鳥として親しまれてきました。その鴫が水辺で静かに羽を繕う細やかな姿は、秋の深まりゆく静寂や孤独感をいっそう際立たせるものとして季語に定着しました。

この季語で詠むコツ

鴫という鳥の動きの中でも、特に「羽を掻く」という繊細な一点に焦点を当てているため、視覚的な静けさと動きの対比を意識して描写するのがポイントです。飛び立つダイナミックな瞬間ではなく、夕暮れの水辺の光や波立ち、干潟の広がりなど、周囲の静かな環境の中に小さな生きものの微細な動きを置くことで、秋特有の哀愁や澄んだ空気を鮮やかに表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水辺の景観:「夕日」「夕波」「干潟」「潮引き」「浅瀬」「芦間」 ・時間や光の描写:「暮色」「落日」「月影」「夕影」「残照」 ・静けさや情感:「しづまる」「かすむ」「遠し」「ひそやか」

鴫の羽搔」の俳句例 (3件)

鴫の羽掻夕日の波のしづまりて
室生犀星【現代語訳】鴫が羽を繕うころ、夕日を浴びていた波の動きが静かに凪いでいった。 【鑑賞】鴫の細やかな仕草とともに、日没に連れて水面のざわめきが鎮まっていく様子を描いています。秋の夕暮れの冷ややかな静寂と、自然の息づかいがしみじみと伝わってくる名句です。
鴫の羽掻く入日かすみぬ波の上
詠み人知らず【現代語訳】鴫が水辺で羽を繕っていると、沈みゆく夕日が波の上にぼんやりとかすんでいる。 【鑑賞】夕暮れ時の穏やかな波打ち際で、鴫が静かに羽を整える姿と、おぼろに沈む夕日の光景が美しく溶け合っています。秋の日の終わりの静謐なひとときを、視覚的かつ叙情的に捉えた一句です。
鴫の羽掻月に遠干潟かな
松窓乙二【現代語訳】鴫が羽を繕っているその向こうに、月の光を浴びて広大な干潟が遥かに広がっている。 【鑑賞】手前で羽繕いをする一羽の鴫の小さな動きと、月光に照らし出された遠く広い干潟という空間の対比が見事です。秋の夜の澄み渡る空気と孤独感が、広がりをもって描かれています。

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