七種の御手向

七種の御手向

しちしゅのおんたむけ

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意味・由来

「七種の御手向(しちしゅのおんたむけ)」は、秋の七草(萩・尾花・葛・撫子・女郎花・藤袴・朝顔/桔梗)を手向(たむ)けとして神仏や旅の道祖神、あるいは霊前に供えることを意味する仲秋の季語です。古代、旅立ちの安全を祈願して幣帛(へいはく)の代わりに手近な野の花を手向けた風習や、宇多法皇の大井川行幸の際に秋の七草を献じた故事などに由来します。春の「七草粥」のような実利的な行事と対照的に、秋の七草は風雅や祈り、哀傷の念を込めて神仏に捧げられる雅趣あふれる季語です。

この季語で詠むコツ

神聖さや雅やかさ、また旅路の哀愁や移ろいゆく秋への惜別の情を詠み込むのが基本です。秋の七草そのものを列挙するのではなく、「御手向」という祈りや捧げ物の行為に焦点を当てることで、しっとりとした情緒や厳かな空気を演出できます。野の自然と信仰心、あるいは過ぎ去った人々への追慕の念を取り合わせると深みが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・場所・対象:神の御前、道祖神、古寺、峠、旅衣 ・自然描写:野分(のわき)、夕露、月影、風の音、枯れ葉 ・心情表現:手向け、祈り、静けさ、面影、古し(いにしえ)

七種の御手向」の俳句例 (3件)

七種の手向けや袖のちぎれ萩
宝井其角【現代語訳】秋の七草を手向ける神前に、旅の袖にちぎれてくっついていた萩の花を手向けよう。【鑑賞】旅先で手向けをしようとした際、自分の袖に偶然引っかかっていた萩の花をそのまま供え物とした軽妙で情趣ある一句です。旅情と秋の草花の風情が鮮やかに切り取られています。
七種の手向けにうとき野菊かな
与謝蕪村【現代語訳】秋の七草を手向ける輪の中には入れず、野菊がぽつんと離れて咲いていることよ。【鑑賞】伝統的な「秋の七草」には選ばれなかった野菊の素朴さや孤独感に目を向けた句です。選ばれた七種と選ばれなかった野菊との対比の中に、野に咲く名もなき花への温かい慈しみが感じられます。
七種の手向けにあまる薄かな
内藤丈草【現代語訳】秋の七草の手向けとして供えられたが、薄(すすき)の穂が豊かなため、神前の器からあふれんばかりであるよ。【鑑賞】手向けられた秋の七草の中で、ひときわ大きく風になびく薄の存在感を捉えています。秋の野の生命力と豊かな実りへの感謝、そして神前に広がる厳かな秋の風情が美しく描かれています。

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