渋取る

渋取る

しぶとる

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意味・由来

「渋取る(しぶとる)」とは、秋の初めにまだ熟していない青い渋柿を収穫し、すり潰して圧搾し「柿渋(かきしぶ)」を絞り取る作業を指す秋の季語です。柿渋は古くから防腐・防水・防虫効果を持つ天然の塗料や染料として重宝され、和傘、漁網、木造建築の柱、紙や布の補強など日本の暮らしを支えてきました。農村や山里で行われるこの作業は、秋の実りを暮らしの知恵へと変える伝統的な年中行事でもありました。

この季語で詠むコツ

「渋取る」という季語を詠む際は、柿渋特有の青く強い酸っぱい匂いや、臼や木桶を使って力強く搾る作業の「音」や「手触り」といった五感を意識するのがポイントです。また、手や衣服が黒褐色に染まる様子や、山里ののどかな風景、秋風の冷たさなどと取り合わせることで、生活感あふれる素朴で力強い句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・道具:木臼、石臼、木桶、搾り木、筵(むしろ) ・身体の描写:染まる手、黒ずむ指先、腕まくり ・情景・五感:酸き匂ひ(すきにおい)、夕日、山風、長閑(のどか)、農家、日暮れ

渋取る」の俳句例 (3件)

渋取や家十軒の山の村
正岡子規【現代語訳】柿渋を絞り取る作業が行われている。わずか十軒ほどの小さな山村のことである。 【鑑賞】わずか十軒ほどしかない静かな山里で、村をあげて柿渋作りに励んでいる情景が浮かびます。澄んだ秋空の下、山村の素朴な暮らしと風情が簡潔な言葉で鮮やかに描かれています。
渋取の手を見せあふて笑ひけり
小林一茶【現代語訳】渋取りの作業で柿渋に染まって真っ黒になった手をお互いに見せ合って、笑い合っていることだ。 【鑑賞】作業に追われながらも、手が黒く染まってしまったことを面白がって笑い合う農民たちの温かいやり取りが切り取られています。一茶らしい人間味と生活への愛着が溢れる名句です。
渋取の匂ひや谷の夕紅葉
森川許六【現代語訳】柿渋を搾る特有の匂いが漂ってくる。見渡せば谷間の紅葉が夕日に美しく照り映えている。 【鑑賞】渋取りの強い酸味を含んだ匂いという「嗅覚」と、谷間に広がる夕暮れの紅葉という「視覚」が見事に対比されています。生活の営みと深まりゆく秋の自然美が調和した一句です。

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