千振

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せんぶり

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意味・由来\n千振(センブリ)は、リンドウ科の二年草で、仲秋から晩秋にかけて山野の日当たりのよい草地に咲く秋の季語です。「千回振り出しても(煎じても)なお苦い」ということからその名が付けられ、古くから胃腸薬や健胃薬として民間で重宝されてきました。別名「当薬(とうやく)」とも呼ばれます。草丈は10〜20cmほどと低く、茎の先に星形をした白く小さな五弁花を咲かせます。花びらには繊細な紫色の縦条(すじ)があり、その可憐で凛とした姿は秋の澄んだ空気に美しく映えます。\n\n### この季語で詠むコツ\n千振を詠む際には、その「極めて苦い薬草」という実用的な側面と、「星を散らしたような清純で小さな花」という植物としての可憐な視覚的側面の、どちらに焦点を当てるかがポイントになります。また、日当たりのよいやや乾いた山路や野原にひっそりと群れて咲くため、秋晴れの明るい光や、乾いた風、山道の素朴な情景など、周囲の乾いた秋の空気感・光景とともに捉えると、季語の持つ清澄な雰囲気が際立ちます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n- 山の情景・道: 「日和」「山路」「小径」「日向」「野道」「岩肌」\n- 質感・光: 「白し」「星」「紫の筋」「木漏れ日」「日ざし」「乾く」\n- 薬草・生活感: 「煎じる」「苦し」「乾す(ほす)」「庵」「土の香」

千振」の俳句例 (3件)

千振の花の小さき日和かな
高浜虚子【現代語訳】千振の小さな花が咲いている、なんと心地よい秋晴れの日和だろうか。\n【鑑賞】秋の澄み渡る穏やかな日差しの中、足元に小さく慎ましく咲く千振の花を見出した句です。「小さき」という花の控えめな美しさと、「日和かな」という広やかで温かい秋空のコントラストが絶妙で、小春日和の長閑さと清々しさが素直に伝わってきます。
千振の小径ゆづりて行きにけり
水原秋櫻子【現代語訳】千振の花が咲く細い山道で、互いに道を譲り合って通り過ぎていった。\n【鑑賞】秋の山歩きにおいて、行き交う人との静かな会釈やすれ違いを描いた名句です。足元に咲く千振の可憐な姿が、行き交う人々の心にある穏やかさや優しさを引き立てており、爽やかで品のある情景が目に浮かびます。
千振咲く日あたりのよき墓どころ
清崎敏彦【現代語訳】千振の花が咲いている、あたたかな日差しの注ぐ墓地であることよ。\n【鑑賞】山裾などにある明るく開けた墓所に、星のような千振の白い小花が咲いている情景です。死者を祀る場所でありながら陰鬱さはなく、薬草でもある千振の花が日差しを浴びて咲く姿によって、静かで温かな安らぎと祈りの空間が生み出されています。

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