山蘭

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さんらん

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意味・由来\n「山蘭(さんらん)」は、初秋から秋にかけて深山や林の中の木陰、湿った岩場などにひっそりと自生するラン科の植物を指す季語です。派手な園芸種の洋蘭とは異なり、楚々とした気品のある花を咲かせ、静かな風情を醸し出します。古来、東洋の美意識において「蘭」は君子の高潔な徳を象徴する植物として重んじられてきましたが、人里離れた山中にひっそりと咲く「山蘭」は、世俗の喧騒から離れた清廉さや隠遁の美しさを際立たせる季語として愛されてきました。\n\n### この季語で詠むコツ\n山蘭を詠む際は、その「控えめで凛とした佇まい」と「山深い静けさ」に焦点を当てるのが基本です。花自体の姿形を大げさに誇張するのではなく、木漏れ日、湿り気を含んだ岩肌、静かな谷川のせせらぎなど、周囲の静謐な環境とともに描写することで、山蘭ならではの清澄な美しさが引き立ちます。また、深山幽谷の孤独感や、ふと見つけたときの静かな喜びを五感(かすかな香り、風の冷たさ、木陰の暗がりなど)を通して表現すると深みが増します。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・場所・情景を表す言葉:深山、木陰、岩陰、谷水、渓流、古寺、苔、杣道(そまみち)\n・光や気配を表す言葉:木漏れ日、薄日、夕靄(ゆうもや)、静寂、露、冷気\n・心情や所作を表す言葉:尋ぬ、見出だす、息づく、秘む、澄む

山蘭」の俳句例 (3件)

山蘭に雨蕭々たる夕哉
正岡子規【現代語訳】咲いている山蘭に、もの寂しげな秋の雨がしとしとと降り注ぐ夕暮れ時であることよ。\n【鑑賞】「蕭々(しょうしょう)」という言葉が、秋の冷ややかな雨の音と山中の深い寂寥感を鮮やかに表現しています。薄暗い夕暮れの雨の中で、濡れながら凛と咲く山蘭の風情が心に沁みる名句です。
山蘭や谷を隔てて僧の庵
正岡子規【現代語訳】山蘭がひっそりと咲くこちらの山肌から谷を一つ隔てた向こうに、僧侶の住まう静かな草庵が見えている。\n【鑑賞】人里離れた深山の静寂と、楚々として咲く山蘭の気品、そして俗世を離れて修行に励む僧の庵が見事に調和しています。視線を足元の山蘭から遥かな谷向こうへと広げる空間構成が巧みな一句です。
山蘭の花の白さの深山かな
高浜虚子【現代語訳】山蘭の咲かせる花の純白さが、周囲の深山の奥深さと静けさをいっそう際立たせていることだ。\n【鑑賞】薄暗い深山の中でふと目に留まる山蘭の花の「白」が、鮮やかなコントラストを生み出しています。ただ花の色を述べることで、かえって山全体の深さや空気の澄み切った清冽さを感じさせます。

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