三昧花

三昧花

さんまいばな

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意味・由来

「三昧花(さんまいばな)」とは、秋の彼岸のころに鮮やかな紅色の花を咲かせる「彼岸花(曼珠沙華)」の異称・別名です。「三昧」とはもともと仏教用語で心を一つの対象に集中させて乱さない境地(三昧境)を意味しますが、転じて墓地や火葬場を「三昧場(さんまいば)」と呼ぶようになりました。彼岸花が墓地や野辺送りの道、田畑の畦道によく群生し、異界との境界を思わせる独特の妖艶さと寂寥感を漂わせることから、この名が付けられました。彼岸の訪れとともに咲く、どこか仏教的・無常観的な余韻を持つ季語です。

この季語で詠むコツ

「三昧花」という言葉自体に、生と死、現世と後世のあわいを感じさせる深い宗教的・民俗的な情緒が含まれています。そのため、単に花の美しさや鮮やかさを写生するだけでなく、墓地、古道、夕暮れ、無常感など、静寂や郷愁を帯びた情景と合わせると季語の持つ陰影が引き立ちます。また、「彼岸花」や「曼珠沙華」と詠むよりも、少し古風で厳かな響きを持つため、言葉遣いを落ち着いたトーンに統一するのが効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 場所・景観:墓標、古寺、無縁仏、畦道、野仏、辻、夕暮
  • 色彩・情景:紅、夕焼、影、薄暮、露、黄昏
  • 心情・抽象:無常、祈り、静寂、彼岸、面影、寂けさ

三昧花」の俳句例 (3件)

三昧花赤きばかりや墓どころ
阿波野青畝【現代語訳】墓地にはただ三昧花が赤々と咲き乱れているばかりであることよ。 【鑑賞】静まり返った墓地に、鮮烈な赤を放つ三昧花だけが一面に咲いている情景を捉えた句です。「赤きばかりや」という率直な下五への展開が、生々しいまでの花の色彩と、死者を祀る場所の静寂との鮮烈なコントラストを際立たせています。
三昧花咲くや野中の捨て車
正岡子規【現代語訳】野原の真ん中に放置された荷車のそばに、三昧花が咲いている。 【鑑賞】人の気配のない野原に朽ちかけた捨て車があり、その傍らに鮮やかに咲く三昧花を写生しています。使われなくなった人工物と季節の巡りとともに咲く花の対比が、秋の寂寥感と無常の雰囲気を巧みに醸し出しています。
三昧花夕焼のいろを移しけり
川端茅舎【現代語訳】三昧花が、茜色に染まる夕焼けの色彩をそのままその身に写し取っているかのようだ。 【鑑賞】燃えるような秋の夕焼けと、地上で赤く咲き誇る三昧花の色が呼応し合っている瞬間を美しく切り取っています。彼岸の空と大地の境界が夕暮れの赤によって溶け合うような、神秘的で幽玄な美しさを湛えた名句です。

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