鮭颪

鮭颪

さけおろし

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意味・由来

「鮭颪(さけおろし)」とは、晩秋のころ、鮭が産卵のために川を遡上(そじょう)する季節に山から吹き降ろしてくる、冷たく激しい風のことです。主に北国や日本海側の地域で使われる季語で、冬の到来を間近に控えた厳しく荒々しい気候を表します。産卵のために命がけで激流をのぼる鮭たちの生命力と、木々を揺らし川波を立てる寒風の厳しさが重なり合い、どこか凄絶で哀愁漂う情景を喚起させます。

この季語で詠むコツ

単に「寒い風」を描写するのではなく、風が吹き抜ける川の様子や波立ち、北国の荒涼とした風景、あるいは鮭漁に携わる人々の営みなど、具体的な情景と結びつけて詠むのがコツです。五感の中でも特に「肌を刺すような冷たさ」や「吹き荒れる風の音」「激しい水流の飛沫」など、聴覚や触覚を意識して言葉を選ぶと、鮭颪の持つ力強さと寒冷な季節感が生き生きと伝わります。

相性のいい言葉・取り合わせ

・水や川の様子(瀬音、波頭、水飛沫、濁流、浅瀬) ・地形や気象(北上川、日本海、荒磯、夕暮、初雪、曇天) ・漁や生活(簗、番屋、投網、胴長靴、煙、篝火)

鮭颪」の俳句例 (3件)

鮭颪川の怒りを吹きぬけぬ
能村登四郎【現代語訳】激しく波立つ川がまるで怒っているかのように、冷たい鮭颪が容赦なく吹き抜けていった。 【鑑賞】産卵に遡上する鮭と抗う川の激しい流れを「川の怒り」と擬人化して捉え、そこに吹きすさぶ鮭颪の鋭さを描いています。北国の自然の凄まじいダイナミズムと緊迫感が凝縮された力強い名句です。
鮭颪とざす海あり陸地あり
臼田亜浪【現代語訳】冷たく激しい鮭颪が吹き荒れ、海も陸地も暗雲と寒気にすっかり閉ざされてしまっている。 【鑑賞】初冬を前に、天地が厳しい寒さと暗さに覆われていく北国の風景を雄大に捉えています。「海あり陸地あり」という大づかみな表現によって、世界全体が鮭颪という自然の猛威に呑まれているような圧倒的な寂寥感が伝わってきます。
鮭颪雲吹きまくる鳥海山
詠み人知らず【現代語訳】鮭の遡上する季節の激しい山風が、名峰・鳥海山を覆う雲を荒々しく吹き散らしている。 【鑑賞】出羽富士とも呼ばれる名山・鳥海山と鮭颪の組み合わせです。山から吹き下ろす強烈な風が山頂の雲を吹き払う動的な描写から、東北の雄大な自然の厳しさと秋の深まりが見事に描き出されています。

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