さけ

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意味・由来

「鮭(さけ)」は晩秋の季語です。北の海で大きく育った鮭が、産卵のために生まれ故郷の川へと群れをなして遡上してくる姿は、日本の秋を象徴する雄大で力強い風物詩です。この時期の鮭は「秋味(あきあじ)」とも呼ばれ、古くから人々の貴重な食料としても重宝されてきました。川を懸命に登る野生の生命力と、命を次代へ繋ぐ自然の厳粛さ、そして北国の寒冷な気候や生活感が宿る季語です。

この季語で詠むコツ

鮭を詠む際は、「躍動感や自然の厳しさ」に焦点を当てるか、「食生活や生活の温もり」に焦点を当てるかで大きく雰囲気が変わります。川を遡る姿を詠むなら、水しぶきや川瀬の音、力尽きて傷ついた魚体のリアリティを描き出すと迫力が出ます。一方、切り身や新巻鮭として食卓や台所に登場する鮭を詠むなら、包丁の刃音や夕餉の煙、北国の暮らしの情感を丁寧にすくい取るのがコツです。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 川・自然描写:瀬音、水煙、浅瀬、濁流、岩肌、北風
  • 動作・状態:遡る(のぼる)、跳ねる、傷つく、切り分ける、塩を振る
  • 情景・風土:みちのく、越後、番屋、夕餉、囲炉裏、新巻(あらまき)

」の俳句例 (3件)

鮭のぼる水かがやきてひろごれる
山口青邨【現代語訳】産卵のために鮭が遡上してくる川の水は、秋の陽光に輝きながら雄大に広がっている。 【鑑賞】北国の豊かな川の広がりと、そこに遡る鮭の生命力を明るく大らかに捉えた名句です。「かがやきて」「ひろごれる」という伸びやかな描写が、冷たい秋の川の水に満ちる生命の尊さを引き立てています。
鮭のぼる瀬の音高き日暮かな
前田普羅【現代語訳】鮭が川を遡ってくる瀬の音が一段と高く響き渡る、日暮れの寒々とした時間であることよ。 【鑑賞】日が暮れて視界が暗くなるにつれ、川の瀬音が鋭く耳に迫ってくる様子を描写しています。秋の冷たい夕暮れの空気感と、流れに逆らって泳ぎ進む鮭たちの気配や激しい躍動感が、聴覚を通して鮮やかに伝わってきます。
鮭のぼる水美しき越後かな
水原秋桜子【現代語訳】産卵の鮭が遡ってくる川の水が澄み切って美しい、実り豊かな越後の国であることよ。 【鑑賞】越後(新潟県)の清冽な川の流れと、そこに群れ集まる鮭の姿を清らかに詠み上げた句です。土地の豊かな自然への讃歌となっており、「水美しき」という直截な表現が鮭の生きる環境の尊さを際立たせています。

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