盃の光

盃の光

さかずきのひかり

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意味・由来\n「盃の光(さかずきのひかり)」は、秋の夜の月見酒などで、盃に注がれた酒の澄んだ水面に映り込む美しい月明かりや光の揺らめきを指す季語です。古来、文人や風流人たちは夜空の月を直接仰ぎ見るだけでなく、手元の盃に月光を宿らせて飲み干す風流を愛しました。秋の澄み渡った空気(秋気)と、清らかな酒、そして繊細な月影が織りなす、雅やかで情緒深い情景を表しています。\n\n### この季語で詠むコツ\n盃という「小さな掌の中の世界」と、広大な「秋の夜空や月」というスケールの対比を意識して詠むと、句に立体的な奥行きが生まれます。酒が揺れるわずかな波立ちや、杯を持つ手の冷え、宴の静けさや夜の更けゆく気配など、五感(視覚・触覚・聴覚)を働かせた具象表現と組み合わせると、実感がこもった鮮やかな一句になります。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・動作・状態:酌む、傾く、揺らぐ、宿す、透きとほる、澄む\n・器・酒:白磁、朱盃、濁り酒、古酒、指先\n・秋の情景:名月、待宵、夜気、秋風、露、静寂、更くる夜

盃の光」の俳句例 (3件)

盃に月をとられて飲れけり
松尾芭蕉【現代語訳】盃の水面に美しい月がくっきりと映り込んで光っているので、その風雅さに心を奪われ、思わずぐいぐいと酒を飲み干してしまったことだ。\n【鑑賞】月見酒の風流を満喫している芭蕉の軽妙で洒脱な味わいがある名句です。「月をとられて」という擬人的な表現に、盃の中の月光の美しさに魅了されて酒が進んでしまう情景が生き生きと描かれています。
盃の底に光るや秋の月
上島鬼貫【現代語訳】傾けた盃の底に、秋の澄んだ月が小さな光となってきらりと輝いている。\n【鑑賞】飲み干しかけた盃の底に残る酒の雫に、一点の秋の月光が宿った瞬間を捉えた極めて繊細な句です。大空の月と手元の盃の底という極小の光の対比が、秋の静けさと透明感を際立たせています。
盃に光をうつす名月哉
向井去来【現代語訳】手にした盃の酒の水面に、冴え冴えとした名月の輝きが見事に映り込んでいることよ。\n【鑑賞】蕉門の高弟である去来が、中秋の名月の夜の風雅を素直かつ端正に詠んだ一句です。名月の放つ清冽な光が盃の酒に鮮やかに宿る様子から、秋の夜の清らかさと宴の心地よい緊張感が伝わってきます。

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