扇ねぶた

扇ねぶた

おうぎねぶた

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意味・由来

「扇ねぶた(おうぎねぶた)」は、主に青森県弘前市の「弘前ねぷたまつり」などで運行される、扇の形をした巨大な灯籠(山車)を指す秋の季語です。青森市の人形ねぶたが立体的で躍動的な「動」の迫力を持つのに対し、弘前の扇ねぶたは平面的な扇型の中に勇壮な武者絵(表の鏡絵)と、哀愁漂う美人画や幽霊画(裏の見送り絵)が描かれ、「静と動」「光と影」の深い情趣を醸し出します。夜の城下町を「ヤーヤドー」の掛け声とともに練り歩く姿は、北国の短い夏の終わりと初秋の訪れを強く感じさせます。

この季語で詠むコツ

扇ねぶたの最大の魅力は、扇の「表」と「裏」で絵柄や雰囲気ががらりと変わるドラマ性にあります。正面の勇壮な武者絵が通り過ぎた後に現れる、裏面のしっとりとした見送り絵の美しさや哀愁に焦点を当てると、奥行きのある句になります。また、漆黒の夜闇と浮かび上がる鮮やかな灯火のコントラスト、通り過ぎた後の静けさや夜風の冷涼感を捉えるのも効果的です。

相性のいい言葉・取り合わせ

・色彩・光:見送り絵、鏡絵、墨色、朱(あか)、灯(ひ)、闇、城下 ・情景・動作:去りゆく、揺らぐ、照らす、見送る、囃子、掛け声 ・心情・感覚:哀し、寂けさ、名残、夜風、冷やか

扇ねぶた」の俳句例 (3件)

扇ねぷた去りゆく闇の深さかな
成田千空【現代語訳】巨大な扇ねぷたが通り過ぎて去っていったあとの、夜の闇のなんと深く暗いことだろうか。 【鑑賞】津軽の風土を深く詠んだ作者による名句です。きらびやかに夜を照らしていた扇ねぷたが通り過ぎた瞬間、取り残された空間の闇が一層色濃く迫ってくる情景を見事に切り取っています。祭りの熱気とその直後に訪れる静寂・孤独の対比が鮮やかです。
扇ねぷた見送りの絵の哀しけれ
細見綾子【現代語訳】扇ねぷたの裏側に描かれた見送り絵の美人画が、なんとも切なく哀愁を帯びて感じられることだ。 【鑑賞】扇ねぷたの裏面に描かれる「見送り絵」に着目した一句です。正面の勇壮な武者絵の熱気とは対照的に、去りゆく後ろ姿に描かれた美人画のどこか寂しげな表情に心を寄せています。初秋の祭りが持つはかなさを素直な感慨で詠み上げています。
扇ねぷた闇押し広げ押し広げ
木村蕪城【現代語訳】扇ねぷたが、重苦しい夜の闇をぐいぐいと押し広げるようにして力強く進んでゆく。 【鑑賞】「押し広げ押し広げ」という力強い言葉の重ねによって、巨大な扇型の灯籠が城下町の暗闇を切り裂きながら練り歩く迫真の動感を表現しています。北国の夜を熱く照らし出すねぷたの圧倒的な存在感と生命力が伝わってくる一句です。

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