尾花の粥

尾花の粥

おばなのかゆ

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意味・由来

「尾花の粥(おばなのかゆ)」とは、ススキの若い出穂(尾花)を摘んで米と一緒に炊き込んだ粥、またはススキの穂が風に揺れるように白くふつふつと泡立たせて炊いた粥のことを指す秋の季語です。古くは秋の七草を愛でる風流とともに、薬効や季節の移ろいを味わう民間伝承的な食文化として親しまれました。秋の深まりとともに冷え込む山里や庵(いおり)で、質素ながらも季節の恵みをいただくという、素朴で侘びた情趣が込められています。

この季語で詠むコツ

尾花の粥には、白さ、立ちのぼる湯気、素朴な味わい、そして秋の冷気といった豊かな感覚的要素が含まれています。単に「粥を食べた」という行為にとどまらず、朝夕の冷え込み(夜寒や秋冷)、草庵や山寺といった静寂な空間、あるいは旅情や孤独感と響き合わせるのが効果的です。視覚(湯気やススキの白さ)と触覚(温もりや肌寒さ)の対比を意識すると、秋らしい深い詩情が生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 気候・時間:夜寒(よさむ)、秋冷(しゅうれい)、朝餉(あさげ)、夕暮(ゆうぐれ)、露(つゆ)
  • 場所・情景:草の戸(くさのと)、山寺(やまでら)、柴の庵(しばのいおり)、土間(どま)、土鍋(どなべ)
  • 動作・状態:すする、吹く、湯気立つ、覚む(さむ)

尾花の粥」の俳句例 (3件)

尾花粥僧の細脛露けしや
与謝蕪村【現代語訳】尾花の粥を炊いて食している僧の、細く痩せた足元には朝露がしっとりと降りていることだ。 【鑑賞】早朝の山寺の清貧な暮らしと、秋の冷気を見事に描いた一句です。尾花の粥をすする僧の痩せ細った脛(すね)と、そこに触れる朝露の冷たさが、研ぎ澄まされた侘びの風情を醸し出しています。
尾花粥吹き覚し来る夜寒かな
加舎白雄【現代語訳】熱い尾花の粥を息で吹き冷ましながら食べていると、身にしみるような夜の寒さがやってきたことだ。 【鑑賞】熱々の粥を吹き冷ます口もとの温もりと、外から忍び寄る夜寒の冷気との対比が鮮やかです。素朴な食事を通して、秋の深まりを肌で実感する実感がこもっています。
草の戸や尾花が粥をすゝりけり
鈴木道彦【現代語訳】質素な草庵の中で、秋の風情ある尾花の粥を音を立ててすすっている。 【鑑賞】俗世を離れた静かな隠棲生活の一幕を詠んでいます。飾り気のない草の戸で質素な尾花粥をすする日常の中に、秋を愛でる豊かな風流心が感じられます。

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