錦馬

錦馬

にしきうま

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意味・由来

「錦馬(にしきうま)」とは、秋の収穫祭や神社の例祭において、神仏への奉納のために美しく装飾された馬のことです。一般に「飾馬(かざりうま)」や「花馬(はなうま)」と呼ばれる季語の傍題(別称)であり、色鮮やかな錦の鞍覆(くらおおい)や手綱、鈴、造花などで華麗に着飾った馬を指します。馬は古くから神の乗り物(神馬)として神聖視されてきました。豊かな実りをもたらしてくれた神への感謝と祈りを込め、村や町を誇らしげに練り歩く錦馬の姿は、実りの秋の活気と晴れやかさを象徴する風情豊かな季語です。

この季語で詠むコツ

錦馬の魅力は、豪華絢爛な装飾の美しさと、馬という動物が放つ力強い生命感の融合にあります。色鮮やかな錦の布や金具のきらめきといった「視覚」の描写に加え、澄み切った秋空に響く鈴の音や蹄(ひづめ)の乾いた響き、荒い息づかいなどの「聴覚」を取り入れると臨場感が高まります。また、馬の荒々しさと対比させて秋晴の清々しさや、祭りの賑わいと去った後の寂寥感などを取り合わせることで、句に深い陰影と奥行きが生まれます。

相性のいい言葉・取り合わせ

・音や響きを表す語:「鈴の音」「蹄(ひづめ)」「いななき」「響く」「轡(くつわ)」 ・秋の晴天や気候:「秋日和」「秋高し」「澄む」「秋風」 ・祭礼や情景の語:「宮巡る」「村祭」「青空」「砂煙」

錦馬」の俳句例 (3件)

飾馬の嘶く空の青さかな
前田普羅【現代語訳】美しく飾られた奉納馬がいななき、その声が吸い込まれていく秋の空はどこまでも青く澄み渡っていることだ。【鑑賞】錦馬(飾馬)の力強い生命力と、秋晴れの果てしない青空の対比が鮮やかな名句です。馬の放つ野性味あふれる嘶きが、静かで澄んだ秋の大気を震わせる瞬間を見事に捉えています。
飾馬の鈴ふり立てて馳せにけり
水原秋櫻子【現代語訳】美しく飾られた馬が、身につけた鈴の音を激しく鳴り響かせながら勢いよく駆け抜けていった。【鑑賞】秋祭りの奉納馬が疾走する動的な一瞬を切り取った句です。「鈴ふり立てて」という描写によって、華やかな馬の装飾とリズミカルで清涼な金属音が生き生きと五感に伝わってきます。
花馬のいななき渡る信濃かな
角川源義【現代語訳】美しく飾られた祭りの馬の高かないななきが、信濃路の山河へとどこまでも響き渡っていく。【鑑賞】信州の素朴で雄大な秋祭りの風情を詠んだ一句です。錦や花で飾られた馬の野太いいななきが、山に囲まれた信濃の乾いた秋空に反響していく雄大な空間の広がりが感じられます。

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