鼠花火

鼠花火

ねずみはなび

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意味・由来\n「鼠花火(ねずみはなび)」は、点火すると火花を吹き出しながら、地面をネズミのように不規則かつ高速に旋回・疾走する玩具花火です。江戸時代から親しまれている伝統的な花火の一つで、そのすばしこく予測不能な動きがネズミに似ていることから名付けられました。俳句では「花火」と同様に秋(初秋)の季語に分類されます。大空に咲く大輪の打ち上げ花火とは対照的に、人々の足元でちかちかと狂おしく火花を散らし、あっけなく消え去る姿には、子どもの歓声とともに、秋の夜のどこか物悲しい風情が漂います。\n\n### この季語で詠むコツ\n鼠花火の最大の特徴は、「予測できない動線」「回転する音と火花」「急激に訪れる消滅」にあります。その動きを単に「回る」「走る」と報告するだけでなく、それによって逃げ惑う人々の足元や、急に立ち現れる周囲の闇、あるいは点火した時の張り詰めた空気など、臨場感のある一瞬を切り取ることがポイントです。また、花火が消えたあとの静寂や火薬の匂いに焦点を当てることで、初秋の夜特有の哀愁や余韻を効果的に表現できます。\n\n### 相性のいい言葉・取り合わせ\n・動作・状態:這う、狂ふ、跳ぶ、きりきり、闇を裂く、足もと、逃ぐる\n・情景・素材:下駄、草履、土間、庭石、濡れ縁、火薬の香、闇の底\n・心情・余韻:驚き、はかなさ、歓声、静けさ、夜風

鼠花火」の俳句例 (3件)

鼠花火わが足もとに狂ひけり
山口青邨【現代語訳】鼠花火が火花をまき散らしながら、私の足元で狂ったように回転し駆け巡った。【鑑賞】「狂ひけり」という措辞に、地面を縦横無尽に回転しながら光を放つ鼠花火の激しさと、それに翻弄される作者の慌てぶりがよく表れています。夜の闇を切り裂く火花の激しさと、足元で起きる日常のちょっとしたパニックがユーモラスに響き合います。
鼠花火草履の先を走りけり
正岡子規【現代語訳】火をつけた鼠花火が、履いている草履のすぐ爪先を激しく走り抜けていったことだ。【鑑賞】どこへ飛んでいくか分からない鼠花火の軌道が、履いている草履の爪先すれすれをかすめていく瞬間を捉えています。思わず足を引き、身をすくめるような咄嗟の驚きと緊張感が、簡潔な言葉の中に鮮やかに写し取られています。
鼠花火草履のあたり狂ひけり
久保田万太郎【現代語訳】鼠花火が激しく回転しながら、草履を履いた足の周りを狂おしく跳ね回った。【鑑賞】江戸・東京の下町情緒を愛した万太郎らしい一句です。下町の庭先や路地で楽しむ花火の光景が目に浮かびます。「草履のあたり」という具体的な着眼点により、火花のチリチリとした熱さや、足元で跳ね回る花火の残影が生き生きと伝わってきます。

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