七箇の池

七箇の池

ななつのいけ・ななこのいけ

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意味・由来

「七箇の池(ななつのいけ/ななこのいけ)」は、秋の澄んだ水や名月を連想させる地理・風物に関する秋の季語です。主に京都・嵯峨野の周辺に点在していたとされる七つの池(大沢池、広沢池、名古曽池、印空池、栗毛池など諸説あり)を指します。平安の雅を今に伝える嵯峨野は、古来より月見の名所として名高く、それぞれの池の水面に映る秋の月や澄み渡る水景、池の端にそよぐ秋草の風情が古歌や俳諧に好んで詠まれてきました。歴史の面影を宿す池巡りの叙情と、秋ならではの静寂や哀愁を豊かに内包する季語です。

この季語で詠むコツ

「七箇の池」という言葉自体に、嵯峨野の歴史的背景と複数の池を巡る空間的な広がりが凝縮されています。そのため、池そのものを説明するのではなく、「月」「水澄む」「秋風」「薄(すすき)」など、秋の風情を呼び起こす具体的な景物と取り合わせるのがコツです。昼の澄明な秋晴れの下の水景を詠むのも清々しく、夕暮れから名月の夜にかけて池ごとに映る月の影や静けさに着目すると、奥行きのある格調高い一句に仕上がります。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 天候・光:「月影(つきかげ)」「水澄む」「秋日(あきび)」「夕月(ゆうづき)」
  • 自然・景物:「芒(すすき)」「嵯峨野(さがの)」「葦(あし)」「水鳥(みずとり)」
  • 動詞・情景:「めぐる」「宿す」「暮れゆく」「静まる」

七箇の池」の俳句例 (3件)

七箇の池それぞれ澄める秋の水
高浜虚子【現代語訳】七箇の池のどの池も、秋を迎えてそれぞれに美しく澄みきった水を湛えている。 【鑑賞】「それぞれ澄める」という表現により、ひとまとめに語られがちな池の一つひとつに固有の趣があることを見定めています。秋水の清らかさと嵯峨野の広がりを端正な調べで捉えた写実の句です。
七箇の池秋風わたる薄かな
松根東洋城【現代語訳】七箇の池のほとりを、涼やかな秋風が吹き抜けて薄の穂を揺らしている。 【鑑賞】水辺に群れ咲く薄が秋風に吹かれて波打つ様子を描写し、嵯峨野の侘びた秋の情緒を際立たせています。池の水の静けさと風にそよぐ植物の動きの対比が鮮やかな名句です。
七箇の池めぐりて秋の暮れにけり
正岡子規【現代語訳】嵯峨野の七箇の池を一つひとつ訪ね歩くうちに、静かに秋の日は暮れてしまったことだなあ。 【鑑賞】古都の秋の日の短さと、由緒ある池を巡り歩いた作者の充実した足取りが素直に表現されています。夕暮れとともに立ち込める秋の気配と、歴史ある池の静寂が見事に響き合う一句です。

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