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「中汲(なかくみ)」とは、陰暦八月十五夜(中秋の名月)の夜、井戸の深さのちょうど真ん中(中ほど)の澄んだ水を汲み上げる風習、またその汲んだ水を指す秋の季語です。 水面に浮かぶわずかな塵を避け、井戸の底に沈む泥を濁らせずに汲み取った水であることからこの名がつきました。古来、満月の清らかな光をたっぷりと浴びたこの水には霊験が宿ると信じられ、飲むと無病息災や延命長寿の功徳があるとされたほか、翌朝のお茶を点てる水(名水)や、書道上達を願う墨摺りの水としても珍重されました。秋の澄み切った大気と、井戸の底に落ちる月の光、そして人々の素朴で敬虔な祈りが込められた雅味豊かな季語です。
井戸、釣瓶(つるべ)、縄、水音、そして天上と水底の「月」が代表的なモチーフになります。 単に夜中に水を汲む作業を描写するにとどまらず、深閑とした秋の夜の空気感、井戸の深みから伝わる冷たさ、水面に映る月を釣瓶で掬うような幻想的な情景をすくい取ることがポイントです。現代では井戸に触れる機会は少なくなりましたが、秋の夜の神秘的な静寂や、水と月の織りなす清冽な美しさを五感を通して言葉に結びつけてみましょう。
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