中汲

中汲

なかくみ

俳句びと 公式スマートフォンSNS

あなたの句を、世界に届けよう

季語辞典で見つけた素敵な言葉を使って、今日の一句を詠んでみませんか?無料で投稿でき、他の愛好家と交流できます。

意味・由来

「中汲(なかくみ)」とは、陰暦八月十五夜(中秋の名月)の夜、井戸の深さのちょうど真ん中(中ほど)の澄んだ水を汲み上げる風習、またその汲んだ水を指す秋の季語です。 水面に浮かぶわずかな塵を避け、井戸の底に沈む泥を濁らせずに汲み取った水であることからこの名がつきました。古来、満月の清らかな光をたっぷりと浴びたこの水には霊験が宿ると信じられ、飲むと無病息災や延命長寿の功徳があるとされたほか、翌朝のお茶を点てる水(名水)や、書道上達を願う墨摺りの水としても珍重されました。秋の澄み切った大気と、井戸の底に落ちる月の光、そして人々の素朴で敬虔な祈りが込められた雅味豊かな季語です。

この季語で詠むコツ

井戸、釣瓶(つるべ)、縄、水音、そして天上と水底の「月」が代表的なモチーフになります。 単に夜中に水を汲む作業を描写するにとどまらず、深閑とした秋の夜の空気感、井戸の深みから伝わる冷たさ、水面に映る月を釣瓶で掬うような幻想的な情景をすくい取ることがポイントです。現代では井戸に触れる機会は少なくなりましたが、秋の夜の神秘的な静寂や、水と月の織りなす清冽な美しさを五感を通して言葉に結びつけてみましょう。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 月・月影・名月(井戸の底に届く澄んだ光)
  • 釣瓶(つるべ)・釣瓶縄(水を汲み上げる道具立て)
  • 井筒・井の底(深い闇と透明な水を抱く舞台)
  • 水音・滴り(静まり返った夜を際立たせるかすかな音)
  • 澄む・冴ゆ・冷ややか(中汲の水の清純さを際立たせる語)

中汲」の俳句例 (3件)

中汲や月にまとはぬ釣瓶縄
成田蒼虬【現代語訳】名月の夜、中汲の水を汲もうと井戸に落とした釣瓶縄は、水底に映る月の影にまつわりつくこともなく、真っ直ぐに澄んだ水を汲み上げたことだ。【鑑賞】成田蒼虬(1774〜1842)は江戸後期の金沢の俳人。井戸の底に冴え冴えと宿る月と、そこにすっきりと下りていく釣瓶縄の清冽な関係を捉えています。「月にまとはぬ」という無心な把握に、濁りのない秋夜の清らかさと研ぎ澄まされた静寂が際立つ名句です。
中汲や月に届かぬ釣瓶縄
小林一茶【現代語訳】名月の夜、霊水の中汲を汲もうと釣瓶を井戸へ下ろすが、水底に映る月は遥かに遠く、縄が届かないかのようだ。【鑑賞】江戸後期の俳人・小林一茶の句。深い井戸の底に宿る名月を手に入れようとするかのような幻想的な視線と、どれほど縄を伸ばしても届かない月への憧れが素直な言葉で詠まれています。一茶らしい童心のような純粋さと、秋夜の深遠な静けさが調和しています。
中汲や月にひびきし井戸の底
加舎白雄【現代語訳】中秋の夜、中汲の水を汲み上げようと釣瓶を落とすと、静まり返る井戸の底に差す月光のなかへ、水音が澄み切って響き渡った。【鑑賞】江戸中期の俳人・加舎白雄(1738〜1791)の句。夜半の深い静寂の中、井戸の底に落ちる釣瓶の水音と、そこへ差し込む冷やかな月の光が響き合う瞬間を捉えています。視覚の冴えと聴覚の澄み方が美しく重なり合い、季語「中汲」の清澄な風情を余すところなく伝えています。

みんなの「中汲」の詠み(人気順)

この季語を使った人気の投稿はまだありません。

みんなの「中汲」の詠み(新着)

この季語を使った「みんなの詠み」はまだありません。

あなたが最初の1句を詠んでみませんか?

関連する「」の季語