京官除目
autumn 生活

京官除目

きょうかんじもく

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意味・由来

「京官除目(きょうかんじもく)」とは、平安時代以来、陰暦八月(初秋)に朝廷で行われた、在京の官吏(八省百官などの官職)を任命・昇進させる儀式のことです。春に行われる地方官(受領など)を任命する「県召除目(あがためしのじもく/春の除目)」に対し、秋の除目は「司召除目(つかさめしのじもく)」または「京官除目」と呼ばれ、秋の季語となっています。貴族や官人たちにとって自らの出世や運命が左右される極めて重要な儀式であり、宮中内外の緊張感や悲喜こもごもの人間模様、夜を徹して行われる厳粛な雰囲気が特徴です。

この季語で詠むコツ

歴史的・王朝的な雅やかさや厳粛さを背景に持つ季語ですが、そこに渦巻く「人間の欲望」「期待と失望」「夜の静寂や緊張感」を描き出すと深みが出ます。現代においては、秋の人事異動や昇進試験、人生の転機に重なる心情を託して詠むのも効果的です。王朝風の古典的な装束や宮中の夜景を取り合わせるか、あるいは俗世の人情の哀歓に対比させることで、秋の哀愁を色濃く表現できます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 冠(かんむり)、束帯、衣紋(えもん)、みだれ髪
  • 夜半(よわ)、灯(ともしび)、篝火(かがりび)、月の影
  • 栄達、嘆き、吉凶、待つ、夜を明かす

京官除目」の俳句例 (3件)

日の照るや京官除目のみだれ髪
正岡子規【現代語訳】秋の陽がまぶしく照りつける中、京官除目の結果を巡って身なりも構わず乱れ髪のまま一喜一憂していることだ。 【鑑賞】除目の夜が明け、日の光が差し込む朝の情景です。昇進を願って夜を明かした官人やその家族の生々しい執着や疲労感が「みだれ髪」という具体物によって鮮やかに切り取られています。古典行事の雅さの裏にある人間臭い滑稽さと哀切を描いた子規らしい一句です。
冠着て寝る夜もありぬ秋除目
正岡子規【現代語訳】いつでも宮中へ駆けつけられるよう、正装の冠をかぶったまま仮眠をとる夜もあるのだ、この秋の除目の時期には。 【鑑賞】京官除目(秋除目)の時期、官職を待ち望む貴族たちが深夜の沙汰を今か今かと待ちわびる緊張感を詠んでいます。冠を脱ぐ間も惜しんで待機する姿に、出世にかける必死さとどこか愛嬌のある人間味が感じられます。
京官の除目もすみて月の舟
山本荷兮【現代語訳】京官除目の慌ただしく緊張した儀式も無事に終わり、秋の澄んだ月光の下、静かに舟が浮かんでいる。 【鑑賞】人事の喧噪や悲喜こもごもが去った後の、静まり返った秋の夜の風情を詠んだ句です。宮中のざわめきと、自然界の静けさ(月光と舟)との対比が見事で、除目が終わった後の安堵感と秋特有の寂寥感が余韻として響きます。

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