経木流
autumn 植物

経木流

きょうぎながし

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意味・由来

「経木流(きょうぎながし)」は、初秋(お盆の時期)の季語です。経木(スギやヒノキなどの薄い木片)に戒名や経文を書き記し、先祖供養や無縁仏の供養(施餓鬼供養)のために川や海へ流す仏事の風習を指します。京都の鴨川や各地の霊場・名刹で行われるものが知られており、夕暮れの川面を無数の白い経木が静かに流れていく光景は、初秋ならではの幽玄で厳かな情緒を醸し出します。

この季語で詠むコツ

「経木流」自体に深い哀歓や祈り、生と死への思いが込められているため、過剰に感傷的な言葉を重ねると句が重くなりすぎてしまいます。流す人の指先の動き、川面を渡る初秋の風、夕暮れの水の色や光の反射など、周囲の情景を具体的に描写することで、祈りの静けさや切なさを自然に際立たせることができます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 水・光に関する言葉:夕水、さざ波、暮色、川瀬、夕映え
  • 動作や身体に関する言葉:指先、佇む、手を合わす、見送る
  • 静けさや気配を表す言葉:川風、暮れゆく、白き、かすかなる

経木流」の俳句例 (3件)

経木流す女眉墨濃かりけり
日野草城【現代語訳】水辺で経木を流している女性の、眉墨を引いた眉が濃く印象的であった。【鑑賞】水辺で先祖の供養をする女性の横顔に焦点を当てた一句です。しめやかな仏事の場において、濃く引かれた眉墨が生々しい現世の美しさや女性の生を感じさせ、流れゆく死者の魂との鮮やかな対比を生み出しています。
経木流すひとりは水に手を浸し
鷲谷七代【現代語訳】人々が経木を流すなか、ある一人は水に深く手を浸したままでいる。【鑑賞】経木を手放したあとも、名残を惜しむかのように川の水に手を浸し続ける人物を捉えています。亡き人への深い追慕や、去りゆく魂とのつながりを水を通して感じようとする切ない心情が、静かな動作から伝わってきます。
経木流し終へたる水に夕日さす
森田峠【現代語訳】経木を流し終えたあとの川面に、静かに夕日が差し込んでいる。【鑑賞】儀式が終わったあとの川と夕日の情景を素直に写し取った句です。経木が流れ去り、人々の祈りが解き放たれたあとの水辺を夕日が赤く染める様子は、供養の達成感とともに、秋の訪れを感じさせる清らかな静寂を漂わせます。

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