葛の葉
autumn 植物

葛の葉

くずのは

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意味・由来

「葛の葉(くずのは)」は、マメ科のつる性多年草である葛の葉を指す秋の季語です。葛は秋の七草の一つであり、古くから日本人に親しまれてきました。この季語の最大の特徴は、葉の裏側が白い毛に覆われていて白いことです。秋の風が吹くと、大きな葛の葉がひるがえり、緑色の中に突然、白い裏側が波打つように現れます。この現象は「葛の裏風(うらかぜ)」とも呼ばれ、古来より和歌や俳句で「裏見(うらみ)」と「怨み(うらみ)」を掛け合わせるなど、情緒的なモチーフとして愛されてきました。

この季語で詠むコツ

葛の葉を詠む際は、単に植物としての姿を描写するだけでなく、「風による動き」と「色彩の対比」に注目するのがコツです。風が吹いた瞬間に、表の濃い緑から裏の白へと一瞬で変化する動的な美しさを捉えてみましょう。また、その白さがもたらす涼しさや、秋が深まる寂しさといった、視覚から喚起される心の動きを重ね合わせると、より深みのある句になります。

相性のいい言葉・取り合わせ

動きを出すために「風」「野風」「嵐」「うらがえる」「ひるがえる」といった動的な言葉と相性が良いです。また、色の対比を際立たせる「白」「緑」「夕闇」や、季節の移ろいを感じさせる「時雨」「露」「夕日」なども効果的です。さらに、「裏見」の歴史的背景から、少し哀愁を帯びた感情や人間の心の揺れを表現する言葉とも調和します。

葛の葉」の俳句例 (3件)

葛の葉のうらみ顔なる野風かな
松尾芭蕉【現代語訳】野に吹く風に葛の葉が裏返り、まるで誰かを恨んでいるかのような表情に見えることよ。【鑑賞】葛の葉の裏が白いことから、古来「裏見(うらみ)」と「怨み」が掛け合わされてきました。芭蕉は、風に翻る葛の葉の白い裏側に、自然の冷ややかさと、どことなく人間的な寂しさや妖艶さを感じ取り、風情豊かに表現しています。
葛の葉のうらがへりたる時雨かな
飯田蛇笏【現代語訳】しとしとと降る時雨の中で、葛の葉が風に吹かれて裏返り、その白い裏葉を見せていることだ。【鑑賞】晩秋の冷たい雨である「時雨」を背景に、葛の葉がひっくり返る一瞬を捉えています。葉の裏の白さと、暗く冷たい雨の対比が、秋の深まりと静寂を際立たせており、蛇笏らしい重厚で緊張感のある写生句です。
葛の葉の吹きかへされて白きかな
正岡子規【現代語訳】風に強く吹き返されて、葛の葉の裏側が鮮やかに白く見えていることよ。【鑑賞】極めてシンプルながらも、視覚的インパクトの強い写生句です。余計な感情を挟まず、ただ風によって葛の葉がひっくり返り、その裏の「白」が目に飛び込んできた瞬間をそのまま提示することで、読者に新鮮な驚きと秋の空気感を与えています。

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