草木瓜の実
autumn 植物

草木瓜の実

くさぼけのみ

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意味・由来

「草木瓜(くさぼけ)」はバラ科の落葉低木で、春に愛らしい真っ赤な花を咲かせますが、秋になるとその後に小さな卵形の実を結びます。これが「草木瓜の実」です。草木瓜は一般的な木瓜(ぼけ)に比べて樹高が極めて低く、地を這うように枝を伸ばすため、実は地面に近い低い位置に実るのが特徴です。秋が深まるにつれて緑色から鮮やかな黄色へと色づき、手にとって見ると非常に芳醇で甘酸っぱい、まるで梨や林檎を思わせる高貴な香りを放ちます。そのひっそりとした佇まいと、対照的な香りの豊かさが秋の情趣を深く感じさせます。

この季語で詠むコツ

草木瓜の実は樹高が低いため、作者の視線は必然的に「足元」や「地面」に向かうことになります。この低位置の視線(ローアングル)を意識して詠むのが最大のコツです。草むらに隠れるように実る様子や、地べたにぽつりと落ちて転がっている姿を描写すると、写生的なリアリティが生まれます。また、その硬い質感や、鼻を近づけたときに漂う強い香りといった、五感を刺激する要素を取り入れると、秋の日の静けさや寂寥感がより引き立ちます。

相性のいい言葉・取り合わせ

  • 地面・足元を表す言葉: 「土」「草の根」「小石」「窪(くぼ)」「地べた」など
  • 五感(嗅覚・触覚)を刺激する言葉: 「匂う」「香る」「硬し」「重き」「熟る」など
  • 静けさを際立たせる言葉: 「秋日(しゅうじつ)」「ひそやか」「薄日」「露」など

草木瓜の実」の俳句例 (3件)

木瓜の実や一つ落ちたる土の窪
芝不器男【現代語訳】木瓜の実がぽつりと一つ地面に落ちている。その落ちた場所の土が、実の重みのせいでほんのりと窪んでいることよ。 【鑑賞】若くして亡くなった天才俳人・芝不器男の代表句です。地面に落ちた小さな実と、それを受け止める土のわずかな窪みという、極めてミクロな視点から秋の静寂と時間の経過を見事に捉えています。静かでありながら、確かな存在感と質量を感じさせる名句です。
木瓜の実の落ちて久しき凹みかな
高浜虚子【現代語訳】木瓜の実が地面に落ちてから、ずいぶんと長い時間が経っているのだろう。その実の形に合わせて、土がすっかり凹んでいることだなあ。 【鑑賞】芝不器男の句を意識しつつ、虚子ならではの「客観写生」の極致を示した一句です。「落ちて久しき」という表現により、実が落ちた瞬間だけでなく、それから今日に至るまでの静かで緩やかな秋の時の流れを、地面の「凹み」という客観的な事実を通して描き出しています。
木瓜の実に風おとろふる日なりけり
飯田蛇笏【現代語訳】庭の木瓜の実に対して吹きつける秋の風が、次第にその勢いを失って衰えていくような、物寂しく静かな一日であることよ。 【鑑賞】冷たい秋風が吹き抜ける中、じっと静かに実っている木瓜の実を対比させています。風の衰えという目に見えない自然の推移と、固く実った木瓜の実の動かない存在感が、深まる秋の寂涼とした空気感をダイナミックに表現しています。

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